うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

無理矢理笑って、お願い笑って

今日は発送日。いつもは火曜日と水曜日の2回に分けて送るのに、明日がお休みなばかりにいつもより多めに包んで包んでつつみまくった。そうだいつだって私は、毎日毎日段ボールを剥いては包み包んでは剥く。「チャーリーとチョコレート工場」に出てくるリスみたいに。その包みには、決して安くは無いお金と引き換えることで託された、色んな人の気持が詰まっている。買い換えた方が安いのに、そのものを出来るだけ直して欲しいと、お店に持ってくる人の気持が。私が扱っているのは、もののようでものではない。大事なのは、身につける人を飾り付ける機能ではなくて、そのものの存在なのだってこと。いつ、誰に貰ったのか。それをつけるとどんな気持ちになって、どんな事が起こったか。きらきらのお金や札束と引き換えに手に入れられる危うくも甘い夢。毎日毎日、地球の何処かで弾けている。今私が触っている華奢なピアスが、どんな濃密な想い出を生み出すのだろうか。私はそれを私がこの世界を好きになったのは、そういうところだ。
珍しい名前の人や、ビックリするような甘ったるい刻印。それらが時として無味乾燥なオフィスの空気を和ませる。指輪の内側だからって、面白く好き放題のオーダーを書いてくる人がたまにいる(守秘義務があるから、書けないけどね)。お店の女の子はどうやって笑いをこらえているのかと心配に成る。さぞや横隔膜が発達しまくりんぐなんじゃあないかしら。げふん。
ただ、この仕事をしてると爪を可愛くする事が出来なくて、それが時々寂しい。塗ってもすぐはげちゃうから。メイクと同じで、崩れた瞬間からそれは、装飾から汚れに変わる。それを見るたびにいつも心がぽっきりと折れるから。お給料が安いなら、そのお給料だけ働いて後は流せばいいんだろうか。そういう人もいるのだろうしそんなこたあ人の勝手だけれど、自分でやるとしたらきっと寂しいだろう。労働形態がパートだろうがアルバイトだろうが正社員だろうが、1日のほとんどを過ごす場所で、何に対しても燃えられないのままくすぶるだけが仕事なのだとしたら。
今日も精一杯働いて、事務所で2日分の給料を貰った。大宮戦の、軍資金
それを元手として、帰りにこれを買った。

NIKKI(初回限定盤DVD付)

NIKKI(初回限定盤DVD付)

くるりの新しいアルバム“NIKKI”。この日記を聴きながら、web日記をしたためる1人駄洒落な俺がいる…って、んがっ。今の時点でまだ、ジャケットアートがちゃんと出てないじゃないか。アーマーゾーン!変身しちゃうぞコラ。日本語喋れないでストーリーがなかなか進まなく成るぞコラテメエ。
もう1、2日したらきちんと表示されることを願いつつ描写してみると、真っ白な画面の真ん中に、太いアイボリーのサテンリボンで体を緩く巻かれた女性の裸身が鎮座している。その頭を挟み込むように、ゴシック体で「Quruli」「NIKKI」とあるのだ。ぱっと見、NY辺りのオルタナティヴバンドの新譜と説明されても納得してしまいそうな、つるんとした洗練。しかしサテンの間からのぞく女性の曲線が、クールになり過ぎない人肌の温かみを画面に与えているような。ううん、くるり変わったな。ロッキングオン社に時代を背負わされそうになるのを、そして「メガネロック」「電車好き」という判りやすい要素に閉じ込めてデフォルメして、下手したら可能性をスポイルしようとする人間の攻撃(こういうのは本人が攻撃だって思って無いから、余計たちが悪い)巧みに回避しながら、いつの間にか肩に力が入りすぎちゃってギスギスしていた、常に新しい事をやらねばいけなかったあの時に比べたら。それは前作「アンテナ」のころからあった兆候だけれど、このアルバムによってはっきりした。ような気がする(弱気)。
昔のくるりは、さらりと丁寧で育ちのいい音のポップスを鳴らしながらも、心の何処かで喘いでいた。そして歌詞に何となく、喘ぎが洩れているような気がして、痛々しくて。でも其処が好きで。『さよならストレンジャー』では「無理矢理笑って、お願い笑って」(ブルース)、『図鑑』では「お願い微笑んで」。周りに沢山、捨てるほど物があるのに、やっぱり人が求めるのは決して故意には作れない人の笑顔や愛だったりする。それを示しているようなこの歌詞が、哀しいのにずっと耳から離れなかった。ついでに書くと、繁君が「青い空」のDVDで演じてる、ホモでサドな水泳コーチも頭から離れない(笑)。
でも今のくるりは、それらが無いと嘆かなくてもよくなった。それは自分で作り出して人に分け与えられる余裕がでてきたからなんじゃないかな、と勝手に思ってる。音は冴えているのに、聴きざわりはとても柔らかい。暖かいけれど、ピンとはキンと冴えてドンピシャに合ってる。この曲をライブで聴いたら、どうなるんだろうなあ。お客さんと彼らの間の空気はどんな色をして弾けて、ぬくもりやしめりけをおびていくんだろうか。XTCみたいになるのかなあと思ってたら、彼らはフレイミング・リップスみたいに自由闊達な(と私が勝手に思ってるだけか)道を行きたいみたいだ。
陽だまりの公園で聴くのもいいし、家でジャージ着てねっころがりながら聴いてもいい感じ。ロックの宿命とか、ロックとは何かなんて議論は無縁だ。そんなこと考えなくても心臓はとくとくと動いているし、お腹もすくし散歩やキスだってムニャムニャだってしたくなる。怒ったり笑ったり哀しんだり。ずっといつも、何かが自分の中で起こってるのだ。どんな人でも、なにがしかを起こす力を持ってるのだ。それを少しずつ切り取ってコラージュして。そうしたら、お互いが作用しあってキラキラ輝きだした。そんな感じ。だからNIKKIなんだなあと。暫く少しずつ聴いて生きたい。
新作発売記念で旧譜が安くなっていたので、唯一カセットでしか持ってない(そしてもう聴けなくなってしまった)、「さよならストレンジャー」を買った。もっくんがいるのは寂しいようななつかしいようなこそばゆいような。このアルバムでは「トランスファー」と「オールドタイマー」が一番好きだったなと、いろんな事を思い出している。週末に聞こうと思う。とりあえず今はNIKKIばかり廻していたい。
本日発売の雑誌は、表紙がかわいくてたまらないSPURと、美的を買った。重い…きっと電話帳くらいの重量があるな。美的は割と知的な記事とか体と精神面の手入れも書いてあって面白いけれど、同じ年ぐらいの人の容姿と自分が余りにもかけ離れているので、うむーとなる。でも巻髪な自分なんて想像できない。全く持って。逆にVoCEは意外とヘアケアに力を入れていたり、あとやっぱり結局はもてたいのか、というオチがついていたり、たまに濃い漫画特集をやっていて笑える。マキアは…解らない。後発の割には地味だなあ。
アユーラの記事に、はじめて接客してもらったBAさんが出ていて、ちょっと嬉しかった。あとシャネルの4色アイシャドウが欲しくなった。ちょっと特集されていたからって、安直…。でもあのアイシャドウの作り方、ブルジョワのチークと同じだよな。SPURはまだ読んでないので、スタジアムにもってこう。何か読むものをいつも持ってないと落ち着かない。活字ジャンキー。
家にかえって風呂に入ると、10時だった。今日は明日に備えていつもより長くお風呂に入ってしっかり頭と体を洗って、スキンケアにも手をかけた。エナジーオブアユーラをフルセット。あと、希望を失わない以外に何が出来るかなあと思って、日記を書き始めて今に至る。…長い、長すぎる。そしておちてない。