2018年1月19日の面会メモ(生後3ヶ月/121日)
いつも通り昼過ぎに病室に着くと、目を閉じてグウグウ寝ていた。どうも朝からご機嫌ななめで落ち着かない様子だったようで、通常昼間の注入時に投薬する眠くなる薬を、少し早めにあげたのだそう。「赤ちゃんは泣くのが仕事」なんて言うけれど、先天性心疾患を持つピーくんにとっては、あまり泣き続けると負担になってしまうのだ。早めの判断に感謝した。薬はよく効いているようで、私が残りの投薬と注入の準備を終えた後でもぐっすりと、夢の世界に浸っていた。ミルクがピーくんのおなかの中に満ちていく間、ほんのりと温かな背中をさすった。赤ちゃんはどんな夢を観るのだろう。
呼吸器離脱が始まると共に目覚めると、やはり不機嫌なようでグズグズ。ピーくんはご機嫌な日と不機嫌な日の差が、気持ちいいくらいはっきりしている。この日は後者だったようだ。いろいろな方法であやしているうちに、タオルで体を包んでかわいい蓑虫みたいにしてあげると、ピタリと泣き止んだ。
実は熱があがりやすく、子供用の氷枕などでクーリングしてもらうことの多いピーくん。熱がこもるのを気にして、今まではこのように包むことはなかった。でも、本人にとってはツボの一つだったようだ。
思えば魂子も、赤ちゃんのころはタオルや毛布に包んでトントンすると、コロッと寝てしまったものだった。やはり二人は姉弟なんだな。ふとした仕草や好みなど、細かなところでつながっている。魂子のことまで思い出されて、ますますピーくんが愛おしくなった。
落ち着いたところでお風呂の準備を始める。オムツ一丁になったところで、体重を測っていただいたところ、3,080g。少しずつでも、体重が増えていると安心する。身長も伸びてきた。沐浴後はしばらく落ち着いていたが、不機嫌なのか苦しいのか、再びグズグズ。またしても蓑虫ピーくんに変身すると、腕の中で穏やかになった。
ピーくんが生まれる前からweb上で少しずつ、18トリソミー児を持つ親御さんのブログを拝見している。ディスプレイ越しの関係であっても、成長やかわいい姿を観られることは嬉しい。しかし、1人、また1人とその子達は空へ帰って行ってしまうのだ。本当に突然、あっけない。これが短命と言われる所以なのか。急に戦友を失ってしまったような、何ともいえない寂しい気持ちにおそわれる。その子達から受け継いだ命のバトンを、ピーくんはいつまでその手に持てるのだろうか。生まれて間もない幼子が歩むにはあまりにも過酷な、この戦場のボーイズ・ライフ。併走しているに過ぎない私でも、しばしば打ちのめされそうになるというのに。
もっと自分が、強くいられたらいいのに。腕の中にいるかわいい息子の安寧を、守れる程度でいい。それくらいの力がほしい。生まれる前から心配事が多かったこの子がようやく迎えた生後3ヶ月最後の日、そんなことを思った。