正月と日常の狭間で
家族にドーナツを買ったり家事の手伝いをしているうちに、もうすぐ正月休みが明けるとこまで来てしまったので、本棚の整理をしてる。なくしたと思ってた、浅草キッド「お笑い男の星座」を見つけたこのタカギ、ホクホクである。
そうしているうちに、日本橋ヨヲコの「G戦場ヘヴンズドア」を久々に手に取った。これは有名漫画家を父に持つ町蔵と、漫画誌の敏腕編集者の息子で、漫画について天才的な鉄男の物語。ページを切ったら血が吹き出そうなくらいに熱く、真摯な話。「泣ける」という言葉は好きじゃない。「作品に感銘して泣けるくらいに健康な自らの感受性を持つ私」を暗にひけらかしている気がする。うるせえんだよバカ。しかし他に表現が見つからないので、敢えて使う。これは泣けるマンガだ。
読むたびにかさぶたが疼く。もう傷でさえなくなっていたと思っていたのに。その昔、自分でもわかるくらいにぷんぷんと、死臭を漂わせていた時期があった。5センチでも足を踏み外せば、二度とかえって来られない奈落へ落ちてしまうような。寝入り端に、翌朝眠ったまま息が止まって死んでいる自分をよく想像したけれど、自分で果たしてそれを望んでいるのかどうか、それすらもわからなかった。2001年の秋。初めてwebに文章をあげはじめたのは、そんなとき。書くことで自分が狂ってないことを、ようやく確認できた。そんな日々だった。
2巻で町蔵が言う。たしかこんな感じに。「俺たちは(マンガを)書くことでくるったところを直してるんだ」。悲しいくらいに理解できた台詞だった。鉄男も町蔵もなんでああももがくのか、もがかずにいられないのかも。
痛みを自覚するのは辛い。けれども痛みをわかることは生きていること。間違ったことに怒りを感じるのも生きていること。笑ってばかりではいられない。笑えないときの方が多い。世の中全てに好かれるわけがない。そんな負の感情もひっくるめて飲み込んだとき、ぼんやりとした光が見えた。夢中になってそっちへ走った。そうしたらみんながいた。ガンバも変わらずに、ガンバのままだった。暖かかった。
読むたびに思い出すのは、そんなことだ。しみじみとして、しょっぱい日々だったけど。
宮本が出国したことをGメールで知って、また気が抜けてしまったけど、もうちょっとしたら色々やりたい。各方面、色々とお待たせしてすみません。
祭りの後ってのは、おセンチになるね。
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