うららかびより

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最強のアシスト、かも知れない

松波正信が、今季限りの引退を表明した。ナカハラさんのmixi日記で知りました。感謝。
頭の中を、ビーチ・ボーイズ“Pet Sounds”の表題曲がずっとぐるぐるしてる。我が脳内DJは最近かなりの怠慢で、サイキョーに哀しいときはいつもこれなんだ。ちょっと前に流れてた、麻生久美子が出演しているSALAのCMの男の子みたいに、左胸に穴が開いてしまった感じ。すんとした哀しさが、少しずつ体温を奪っていく。
松波を嫌うガンバサポは、いなかったと思う。「足遅いなあ、しょうがないなあ」といいつつも、何かやってくれるのだと期待させる。自分の気持ちをいくら預けても構わないと思える信頼感が、彼にはあった。エリック・カントナマナーで襟を立て、どんなに負けが込んでいても、自分がベンチから外れていても、自分が落ち込む前に周りの若い選手の心情を気遣う思いが、彼にはあったと思う。そしてそれはサポーターに対しても同じで、公式サイトで自分の声を定期的に届けることを忘れなかった。丁度ロッテを引退する、初芝清さんとその点イメージがだぶる。私が初さんのいるロッテを応援できるのは、今年が最初で最後なんだけど。
かつて礒貝洋光の腰ぎんちゃくみたいだった頼りない青年は、結婚を機に頼もしさを増し、やがてみんなから慕われる兄貴となった。開幕時から一緒に、ガンバを見つめてきた最後のJリーガーが、いなくなってしまう。サポーターは結局フロントや選手が決めて進めていく事実に、半歩おくれて付き従いながら寄り添っていく運命なのだが。いつでも、誰が相手でも、置いていかれるのはつらいものだ。卒業生を送り出す教師のきもちって、ひょっとしてこんななのかな。私は今でも、会社の中でも、涙をこらえるのに必死だ。ああ、そうですよ。馬鹿ですよ。いい年こいて痛いですよ。ほっといてくれ。
しかしナビスコ杯の前日に発表とは。こりゃあ、松波からチームへの最大のアシストと言えるかもしれない。連敗により、迷いが無かったはずのチームの輪郭がまやけだし、世間はこぞってお犬様の天下を夢想する。綱吉時代じゃねえんだから。初タイトルを目前にしてサポも落ち着かない中に、このモチベーション爆弾。にくいよこんちくしょう。
特に最近ゴールネットを揺らしていない大黒や吉原は、こうしたシチュエーションに燃えやすい男たちだと、勝手に思ってる。燃え滾ってくれよ。相手チームの皆さんの心に焼きごてのごとく燃え盛る一撃を、ゴールネットに突き刺すべし。一生忘れられないくらいに、鮮烈なやつをね。
さあ、こっちもあったまってきた。お楽しみはこれからだ。優勝させてあげられなかった木場君の分まで、三冠で送り出してあげよう。そう簡単に、引退させてなるものか。元旦まで、きっちり働いてもらうよ。