うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

たった一つの冴えたやり方

ゲームセットの瞬間が美しいのは、負けたチームを愛する人の希望が砕け、空気へと溶けて流れていくからじゃないか、なんて過剰にセンチメンタルな思いを抱くことがある。空気が一瞬薄くなり、弾け飛ぶあの瞬間に。勝ち続けることがしばしば重圧になるのは、それまでの道のりで砕いてきた希望が、肩に降り積もり、呪いのようにのしかかるのだ、とも。だからこそ勝者の責任は、重いのだ。何回も繰り返し書いているけれど、スタジアムに転がっている幸福の数はいつだって稀少で、私たちはそれを奪ったり奪われたりしながら、一年間を過ごす。奪う側があるからには、奪われる側もまた存在する。最後まで保持できるのは、たった一つのチームだけ。

私の願いは、裏を返せば、今日たくさんテレビに映っていた福岡の人たちの希望を叩き潰すこと。あの人たちの顔が、絶望で曇ること。それを考えると時々ぞっとするし*1、自分はなんてエゴまみれの人間なんだと思うけれど、こればかりはどうしたって、譲れないのだ。理論的には片付かない。それ以上に、勝ちたい、勝たせたいという獰猛な意志がムクムクと膨れ上がって体内で暴れまわる。スタジアムきいくと人が変わるのではなく、寧ろ「自然」な形に開放されるのだととらえた方が、正確かもしれない。

でもだからこそ、相手に対する最低限の礼儀は忘れたくないんだけど。叩き潰すことになっても、相手があっての試合や勝利であることは、変わらない。それに強い相手がいるからこそ、反骨精神が保てるし、より強くなろうとする上向きの力が生まれるんだから。

明日は、千葉ロッテマリーンズが勝つことを願ってる。もちろん雅英がきっちり抑えてくれた上で。
今年のロッテの野球は、みんながその瞬間に出来る最大のことをやってのけて、誰かがへこんだら別の選手が大車輪でカバーして、いつの間にか逆転して、ドーンと大団円へと雪崩れ込む。いつもそうだったじゃないか。だから明日も、きっとそうだ。

*1:サッカーの時も然り