うららかびより

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北京五輪アジア二次予選・アウェイシリア戦:三歩進んで二歩下がる

えー、おかげさまで今宵のうどん屋神宮、雨天につきあえなく営業中止。気になっていたこの試合も、キックオフから自宅で見ることができました。
結果は2−0で勝利。水野と本田啓佑のゴールで、五輪出場へ向けた最後の大舞台、最終予選へとコマを進めることが出来ました(日刊式スコア速報)。
…とこう書くと、字面は綺麗。ええ、とっても。しかし実際のところ、買ったのにこれほど脱力感を味わった試合も久しぶりでした。とにかく、いい流れが作れない。組織プレイやチームのらしさというものが、ピッチの上でなかなか表現できない、もどかしい90分でした。このまま行って、本当に大丈夫なのか。大きな不安が残ります。それは現場も同じだったようで、試合後のインタビューで、ソリマチの眉間にマリアナ海溝のごとき深さで刻まれたしわが、それを端的に物語っていました。そして先制点をたたき出したチームいちの孝行息子・水野は、端正な顔に色濃く疲労をにじませており、言ってしまえば敗戦後のような重苦しさを漂わせておりました。

前半

まずイニシアティヴを握ったのは、日本。本田圭佑と水野が、両サイドからチャンスを作っていきます。しかし、この2人以外からチャンスがなかなか生まれません。シリア守備陣は総じて引き気味で、カレン・平山両名が使えるスペースを消されてしまいます。今日トップ下に入った家長もあまりいい仕事が出来ず、この3人は時間がたつに連れてピッチの上で行方知れずに。中盤でのプレスが少ないため、日本はボールを持てはするものの、足元へのパスばかり。ボールをキープできているというよりも、もたされているといった雰囲気で、チームとしての躍動感は出てきません。これはボールを持っていない選手の走りこみや、スペースを作り出す動きが足りなかったのも大きいと思いました。
もっと中盤から、ゲームを動かしてほしい、と思いました。だから梶山にはボランチとして期待していたのですが、残念ながら彼らしさは発揮できないまま。両サイド頼みの攻撃に終始しました。
シリアがあまり仕掛けてこなかったので、西川をはじめとした守備陣は、あまり仕事をする機会がありませんでしたね。ただ、最終ラインの約束事がまだしっかり出来ていないような印象があるのは、私だけでしょうか…たとえば伊野波が積極的に声を出しているわけでも無いし、ただ漠然と「並んでるだけ」みたいに見えましたね。けっこうスタジアムはまったりムードで、コーチ陣の声は聞こえたんですけど、選手らしい声はほとんど聞こえないまま。出せばいいってものではないものの、なさ過ぎるのも気になります。
シリアは、ホームですからもう少し積極的に仕掛けてくるかと思ったのですが、前述のように若干引き気味で様子見といった感じ。ただ、国立のときよりきびきびしていて、ペナルティエリア前のおいしいスペースでは仕事をさせない、という目的意識ははっきりしていました。それでも2点とられたのは、ひとえに本田と水野の個人技のなせる技でした。
平熱のまま、国際試合らしい熱さや胸の高鳴りもないままで、2点のビハインド。サッカーは2点差のときに一番、展開の綾が生まれやすい。それはリーグ戦から得た経験の中で、重々承知の上です。このまま安心していいのか?足元すくわれやしないか?こころの片隅でもぞもぞと不安の虫が気持ち悪く疼くような、前半でした。

後半

いきなりオセロの駒がひっくり返ったように、状況が一変します。
シリアが別のチームとなってピッチに戻ってきました。もともと後半勝負だったのではないか、と思うくらいに、前から積極的に仕掛けてゆきます。そのプレッシャーに気おされて、日本の組織全体が下がり目になりました。ただ、ここは守備陣が踏ん張ったのと、相手の詰めが甘いのとで、怖いシュートはほとんど打たせません。ただ、実況でもしばしば言われていたように、どっちが勝っているのかわからない、怖い状況は続いてゆきました。
シリアがなぜあそこまで、変貌したのか。ゲームプランもあったのでしょうが、それ以上に日本の選手の運動量がカックーンと落ちて、中盤がスカスカになったことも大きく影響していたように思います。こうならないために、早くからダマスカス入りして、調整を続けてきたんじゃなかったのか…。とにかく動けないし、ボールも動かせないという悪循環に陥りました。そこに来てきつくなった、シリアのプレス。劣勢は続きます。チャントを歌って直接励ますことも出来ず、テレビを見ているしか出来ない私は、ただひたすら、「早く終われ!」と祈るだけでした。増田や菅沼が途中で投入されて、若干前に意識をもっていけるようになりましたが…終始重苦しい展開で、終わったときには疲れがどっと出てきました。とにかく、勝って良かったです。本田圭佑と水野には、ちょっとお小遣いをあげてもいいくらいです。この2人がいなかったら、勝つのはとても難しかったと思います。
ただ、最終予選にむけてこのままでいいとは思えませんし、試合後の表情からソリマチもてこ入れをしてくると思います。ただ、彼の場合は「するぞするぞ」といいつつも、フタをあけて見たらマイナチェンジ未満のちっちゃい変更だったということも今までにあったので、油断はできないですけどね。ただ、何も考えずにこのままいくよりはいい。
残念だったのは、(シリアが非常にチンタラしたチームだったとはいえ)前回の試合でつかみかけていたいい流れや、ソリマチジャパンとしてのアイデンティティが、今回みられなかったことです。題名のとおり、三歩進んで二歩下がる、でした。顔を持たないチームは、世界と渡り合うことが出来ません。選手も監督も、たくさん悩んで答えを出さねば。最終予選も、もう目の前に迫ってきているのですから。
しかし家長…組織の不調に飲み込まれる形で、存在感を失っていきました。ガンバサポとしてのエゴをむき出しにした発言で申し訳ないんですけど、こうして変に調子を崩したまま、ガンバに戻ってこられると困るなあ…。家長なら、次の試合でけろっとした顔してチンタラチンタラ、たまにビシィ!と、サポのこころをはらはらしつつ最後にわしづかみにしてしまう、いつものプレイを見せてくれると思いたいんですけどね。
スーパーマリオ一面もクリアできないほど壊滅的な反射神経の持ち主の癖に、いろいろ偉そうなことを書いてしまってます。それでも、次の試合にはまたテレビやスタジアムで応援するつもりです。みんな、好きだしがんばってほしいですからね。まずは、Jで。自分たちでつかんだものを生かして、思いっきり活躍してほしいです。

小ネタ

  • 在シリアの日本人のみなさんが、スタンドで応援しておられました。お子さんの声で「がんばれ日本、ファーイト」という声がずっと聞こえてきていました。飽きずに続けてえらいと思います(笑)。
  • シリアの人は、前半終了間際でも平気でどんどんスタンドに入ってきましたね。展開によっては長丁場になる野球ならばわかるんですけど、45分ハーフで終わってしまう試合なのにいいのか?と思ってみたり。
  • 江尻コーチやソリマチを見ていると、むかしのJを思い出して懐かしいです。井原コーチはあまり映ってなかったような。何でだろう。

てなわけで

明日こそは、外苑前の小粋なオープンエアうどん屋「神宮」で、ヤクルト対横浜が観たいです…。おやすみなさい。