うららかびより

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2007パ・リーグ開幕戦:千葉ロッテマリーンズ対北海道日本ハムファイターズ

行って参りました、5時起きで。千葉マリンスタジアムへ足を運ぶのは、実に半年ぶりのことです。
ついてまず驚いたのは、スタジアム入り口周辺のそこかしこに、「去年の悔しさ忘れるな」などといった檄文が、白い生地に黒のスプレーで書かれて貼り付けてあったことです。また、開幕戦は希望者全員にチームフラッグが配られ、試合前には大規模なマスゲームも。去年は交流戦以降、大失速した末にパ・リーグ4位に終わりました。ですから球団もライトスタンドも、名誉挽回に燃えています。その熱意は行動となって、しっかりと現れていました。
新しいチャント、新しい顔ぶれ。去年から変わったことも多かったものの、初めて野球を観た思い出の土地に、帰ってきたのだなあという実感が、なんともここちよかったです。試合前はチビッコダンサーたちのパフォーマンスや、微妙にあやしいよちよち歩きをするドラえもんの着ぐるみ*1や、Def Techのmicroによる国歌斉唱など、開幕戦らしく見所が多かったです。しかし一番嬉しかったのは、福岡ソフトバンクホークスから移籍してきた外国人強打者、フリオ・ズレータがライトスタンドや一塁側内野席に向かって、挨拶しに来てくれたことでした。少し前まで、散々やられていた憎い選手だったのに、手を振りながら声援に答えてくれている姿は、まだちょっと不思議に思いました。
先発はロッテが清水直行日本ハムダルビッシュ。清水は立ち上がりから次々と三振を奪い、日本ハム打線に付け入る隙を与えません。しかしロッテ打線が雨が降るより先にしけってしまっていて、ダルビッシュにすっかり手玉に取られてしまいます。バットも何本もへし折られたなあ…。内角に際どく入るシュートが冴えにさえて、4回2アウトに福浦さんが打つまで、ヒット1本さえ出ない状況が続きました。もどかしいこと、この上ない。この日の空のようにすっきりしない打席が続きます。
清水は優れた投手ですが、ゴロを打たせてアウトを取るというよりは、三振かヒットを打たれるかという、バクチ性の強いピッチングをします。観ている分にはそれがスカッとして、気持ちよくもあるんですけど、一刻も早く援護が欲しいところです。…しかし、味方の細かいエラーも影響して崩れてしまい、3回と6回に2点ずつ失って、2アウト一塁二塁というところで、残念ながらノックアウトされました。
二遊間からレフトにかけて、あと三塁線ギリギリを破るヒットから、けっこうやられましたね。確かに日本ハムの打線は上位だけでなく下位にも、坪井智哉高橋信二などの好打者が揃っていますが、あれっ?ていうミスから、球が抜けることもしばしば…。開幕戦という特殊な場で、いつもの動きがとっさに出ない場合もあるでしょうが、もう少しピシッと決めて欲しかった。この点は、残念です。
しかし清水にかわってマウンドに上がった2年目の川崎雄介が、堂々としたピッチングでシャットアウト。これは嬉しかった。去年のゴールデンウイーク、オリックス戦で散々打ち込まれてしまった姿を観て以来ひさびさに投球を見ましたが、わたしのような素人目でも、調整が順調に出来てきたのがわかります。この調子で、頑張ってほしいっす。
6回裏、ようやくロッテ打線が目覚めました。先頭打者の今江が、カウント上追い込まれつつもカットしまくって、ダルビッシュをじらします。そして、甘い球を見切ってヒット!この打席が、その後のいい流れのきっかけとなったと思います。続く根元は三振に倒れましたが、このあたりからカウントに、ボールが増えたように思います。続くTSUYOSHI*2の当たりは、ダルビッシュの正面に飛んでしまいましたが、これをダルビッシュが処理しきれず、内野安打となりました。続くベニーちゃんは凡退し、福浦さんはきっちりフォアボールを選んで出塁。これで二死満塁。バッターは、4番DHズレータ。願ってもないチャンス。しかしそんな反撃の糸口を、凡退で潰すことが多かったのが、去年のロッテの弱みでした。ここまで、ズレータはノーヒット。嫌な予感がなかったわけではありませんが、信じるしかありません。
日本ハムの選手や投手コーチが、マウンド上のダルビッシュに声をかけたあと、持ち場に戻って試合再開。緊張の第一球が放たれました。
気合一閃!パナマの怪人が繰り出したバットは、白球を雷に変え、それはかつてない勢いで、バックスクリーンよこの客席に突き刺さったのです。ロッテの選手となったズレータの公式戦初ヒットは、同点満塁ホームランとなりました!ワンテンポ置いて、一気に沸騰寸前まで沸き立つ場内。ズレータの振った魔法の杖は、その雷撃でもってスタジアムの空気をガラッと変えてしまいました。どこかまだ残っていたよそよそしさもまた、消し飛んでしまいました。この瞬間から、確かにズレータ千葉ロッテの仲間になったのです。去年欠けたまま苦しめられた、決定力というピースを持った、かけがえのない仲間。スタジアム全体があれほど震えたマリンを観たのは、2005年秋、西武とのプレーオフ以来のことでした。ズレータのチョップチョップ、パナマウンガー!幕張ファイヤー!という、リニューアルしたパフォーマンスも決まりました。
7回表も、好調の川崎がきっちり2アウトまで追い込み、三人目の打者となる高橋と対戦しているときに、雨足が強くなってゲームは一時中断。これからラッキー7の反撃が待っているというのに、飛んだ水入りです。しかし中断期間中は、日本ハムマスコットのB・Bや、ロッテのマスコット・マー君、そして森本稀哲が、小ネタ大ネタで楽しませてくれました。引退した諸積さんの得意技だった、雨中のヘッドスライディング。B・Bやマー君だけでなく、Def Techのmicroさんまでやってくれるとは(笑)。
しかし試合は、結局7回コールドとなり、引き分けが成立。もったいない幕切れです…。守備の乱れや打撃低調など、心配な面もたくさん出た開幕戦でしたが、ズレータの存在感と川崎の好調など、得るものもありました。パ・リーグは始まったばかり。挽回に期待しています。
楽しかった!

*1:映画「のび太の魔界大冒険」のプロモーションで来ていました

*2:まだちょっと書くのが恥ずかしい、というか笑えますな…