うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

春にしてふと、思うこと

春になると、新入社員らしい人たちが沢山野に放たれる。彼らは垢抜けなくて、不安と緊張と虚栄心のクリームを体にへばりつけたまま、所在なさげにしている。しかしそんな未完の姿すら眩しい。私が手に入れたくても、とうとう出来ずに終わったその姿。
あのとき私は、採用を断られる度に「人間の屑」だというレッテルを貼られたと勝手に思い込み、心も体も動けなくなって何年も過ごした。世界は本当は限りなく球体に近い多面体で、私を否定したものはその中のほんの一面にすぎないのだと、あの時、あるいは早い内に気づいていたら。私はどうなっていただろう。今より金持ちでウハウハだったろうか。新幹線は俺の足、だったろうか。
それもひとつの可能性。今歩いているこの道程は、選択に選択を重ねて得た結果なのだから。選択しないことも、思えば立派な選択肢のひとつだったのだ、あの時は。
立場を変えてみないと分からないこともあった。今はそうして手に入れた思考と、友人を、大事にしたいと思う。
さあて、そろそろ映画館へ行くかね。

ショートケーキも食ったし<食い過ぎや、自分