うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

GIANT KILLING9巻を一気読み(多分致命的なネタバレは無いと思うような気がする)

GIANT KILLING(9) (モーニング KC)

GIANT KILLING(9) (モーニング KC)

懐のウルウル最高潮な給料日の本日、待ちに待った最新刊発売。単行本で一気読み派の私としてはこんなにうれしいことはございません。仕事帰りに購入し、電車に揺られながら一気に読みました。うっほっほーい。
相手に合わせるよりは自らの信念に殉じ、スタメンと交代パターンはほぼ固定のアタッキングサッカー…なんていう、ガンバサポには既視感ありありの大阪ガンナーズ相手に立ち向かうETUの戦いも、いよいよクライマックス。今宵も相手を小粋な罠にかけていく達海監督の采配と、それにぴりっとスパイスを利かせるピッチの上の選手たちの汗、思い、そして一蹴り。そして、つくづく思うこと。サッカーがどんなに近代化かつデジタル化をとげ、4-2-3-1だの3-4-3だの、門外漢にとっては築地市場のせりの暗号かい!としか思えないような数字の羅列に支配されようと、それに命を吹き込むのは、一歩でも一秒でも長く早く、人を突き動かせるのは、人の意思だってこと。あらゆる事象が好む好まざるに関わらずクモの糸のように張り巡らされ、昼ドラのびっくりのもつれあい、絡まり合いの果てに、倍率ドン!さらに倍!てな具合にふくれあがって大どんでん返しまくって、最後にどすんとオチがつくことの不思議さといったら。もうね、何なんでしょうね。ピッチの上は地上に残された数少ない、ファンタジックな領域だからなんでしょうね。欺いてなんぼ。人の予想に無いことをしてみせてなんぼ。その方が、みるにもやるにも、いっそ痛快。そしてピッチの上の誰もが、きらめくワンプレイに寄ってあっという間に主役になりうるのだ、ということをしみじみと感じられる、後半のラストシーン。くはー!
サッカーをトンでも技やぶっとび超常現象なく、現実味あふれる軽快なテンポで描き切ってしまう漫画って、なかなか無かったと思います。サッカーが好きだからこそ、この漫画の隅々まで味わうことが出来るのだと思う。しあわせ。それにしても窪田は二川とかぶる。平賀は宮本っぽさを感じさせつつ、今のチームで言うと明神かな?でも播戸とイメージが重なるのは、ETUの夏木。彼には嫁も娘もいるけどね。播戸+嫁+娘+もしゃもしゃヘアー=夏木。ただ、ガンナーズには、(私にとってはガンバの立派なチャームポイントたる)足下のお留守さも間抜けさも、ときどきぞっとするほど匂い立つエロさもないのだなあ。清潔感にあふれる、理路整然としたサッカー。ダルファー監督も戦術ナルシストではあるものの、「来いよ!見せてやるよ!」とは言わないだろうし(笑)、就任直後にルミネtheよしもとへ行ったりしないだろうし(プププ)。惜しいところがちょっと足りない。そうなると、満ち足りたときの感覚や、万博の芝に対する懐かしみがいっそう増すのでした。ああ、早くスタジアムに戻りたい。椿みたいにすかっとした上がりが観たいよ。つか、右サイドバックの控えを補強したいよガンバ。
そんな椿のサッカー人生を、藤澤女史が少しずつ明らかにしていく過程もよかったです。今まで、「なんだかよくわからないけどとにかくすごいやつだ」というキャラだった椿の輪郭が少しずつはっきりしていって、しかも私が想像していた道のりとはちょっとちがって。思ったより自覚的、そして理知的にサッカーと向かい合ってたんですね。なんだかまだ、どんどん化けそうな椿です。
しかし90分間をハーフタイムもそこそこに一気に駆け抜けたような爽快感、そして充実感。このテンポの良さはいつまでも失ってほしくないな。マガジンのヤンキー漫画的にダラダラ続くでも無く、ジャンプっぽい冷徹なアンケートに負けた末のあっけない幕切れに甘んじること無く、いつか終わるべくして終わって、それまでは最後まで物語であり続けてほしいのです。早く続きが読みたい!けど、本誌派に宗旨替えするのも今更なので、じっと黙っておとなしく、10巻を待ちますよ。