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日雇い派遣悲喜こもごも

日雇い派遣の規制強化を検討していた労働政策審議会厚生労働相の諮問機関)労働力需給制度部会は25日、給与からの不正な天引きを禁止するなどとした厚労省の指針案を了承した。月内に職業安定分科会(同)に諮問され、パブリックコメント(意見公募)などを経て公布される。

 日雇い派遣を巡っては、禁止業務への違法派遣や二重派遣などが社会問題化。指針では、派遣元と派遣先双方に、就業場所を巡回して契約通りかどうかを確認するよう求めた。派遣料金や賃金の情報公開など、労働者保護と規制強化を打ち出している。対象となるのは、1日単位か30日以内の労働者派遣企業と派遣先企業で、違反があれば行政指導の対象になる。

 労働組合の連合は、日雇い派遣を禁止し、直接雇用とするよう求めている。この日の部会でも労働側委員は「指針や省令で根本解決につながるのか疑問。日雇い派遣は法改正で原則禁止とすべきだ」と主張した。【東海林智】

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080125k0000e010049000c.html

日雇い派遣を足がかりにして、数年かけてようやく今のポジションに落ち着いた人間としては、なにやら複雑な感情を抱いてしまうニュース。もちろん、労働条件の改善のための規制は大いに結構。しかし、連合が日雇い派遣を安易に禁止しようとするなら、まず「間口の広い、というかゆるい日雇いでないと働けない事情のある人」も存在することを、わかってほしい。
就職氷河期どまんなかで就職浪人を続けていた私は、面接に落ちるたびに(今にして思うと)バカ正直に「自分は世の中にとって要らない人間なんだ…」ってふさいでふさいで、はげそうでした。で、そうしたクサクサした気持ちを抱えたまま面接に行くから、またうまいこと行かないという悪循環。負けが込んだサッカーチームみたいに、どんどん自分の指針がくるっていく。そういう人間が、どんな形でもいいから働きたいと、わらにもすがるような気持ちで門をたたいたのが、某日雇い派遣会社でした。交通費は出ないし、明日の仕事にありつけるかもわからない。わかってたんだけど、でもそこでないと働ける気がしなかった。
約束していた仕事が、クライアントの都合で「YOU、明日から今月いっぱい来なくていいから」「扶養がらみで一時はなれていたパートのおばちゃん、明日から戻ってくるから。いままでありがとうね」って。雲のように平気で消えてしまうこともしばしば。「弁当工場のサンドイッチラインでは、出来が悪いとベテランの外国人にそのサンドイッチを投げつけられる」とか分けわかんない都市伝説じみたうわさにおびえてたっけねえ。自分でも、雑誌の付録のCDロム差込作業だって聞いて現場に行ってみたら、エロDVDorzパッケージの裸の姉ちゃんを見ながら延々と仕事だったってこともあります。今だから笑える話なんだけど、さすがに当時は、両親には言えなかったですね。ただ、いろんな現場にいけて、世間知らずの高慢ちきだった私はたくさん勉強したし、現場のおばちゃんに親切にしてもらったりもして、いい経験をしました。悪いことだけではありませんでした。ただ、「いつまでもいてはいけない場所」だったというだけで。
でもそんな場所でも、理由は違えど、「わかっちゃいるけどやめられない」人、多いと思うんです。禁止するのは簡単。でもそれだけじゃあ、働けない人を増やすだけなんじゃないでしょうか。「なぜそんなインチキ業者がまかり通るようになってしまったのか」っていう原因も、ちゃんと考えて欲しい。新卒就職率はアップしても、まだまだ現場では雇用のミスマッチや、働きたい人と人材が欲しい側の引き合わせがうまいこといってない部分は多いです。地方に行けばいくほど。そして若い人がいなくなっていくんだ。
まず考えるべきなのは、そこからだと思うんだけどなあ。私がもっと頭のいい人間なら、こんなせいぜいセルジオ越後レベルの印象批評で終わらずに、ここでガーンと打開策書いちゃうところなんですが、うーん、言葉に詰まる。そこんとこも含めて、モヤモヤしております。