うららかびより

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スリルとホラーとサスペンスが狂い咲いたソウルの夜

いやー疲れた、疲れた。観ているだけでも疲れましたよってことで、FCソウル戦。ひとまず4−2で勝って一安心です
あいにくとBS朝日が観られない我が家なもので、こっそりとネット中継で戦況を見つめていました。モヤモヤとした画面の向こうで躍動する、見慣れた青と黒の選手たち。そしてその前にどっしりと立ちはだかる、FCソウルの選手たちは、とにかくひたすらでかくて強い。なんせこちらが少しいつもより強めに削ってみてもびくともせず、逆にあちらの選手にコリッと行かれてボイーンと吹っ飛ぶシーンがちらほら。そのくせ彼らは、ボールを持ったあとの加速が抜群でした。日本のチームとは、質が違う速さ。擬音で表すと、「ギュン!」。空気の固まりすら、ぶっ飛ばして切り裂く勢いです。ほんでもって、体力もたっぷり。そろそろ脚が止まる時間帯かな?と思ってもガンガン体を寄せてくる。荒くなるのは、まいっちゃいましたが。
でもちょっとしんどくても、やっぱ海外、出てみるものだと思いました。勝ち点3を得ただけでなく、今年のガンバの勢いを確かな物にする効果は、有ったと思います。去年のACLはアウェイで安定した強さを誇っていたガンバでしたけど、のっけから、スリルとホラーとサスペンスを味わえるとは。ちょっと審判にミソつけられた感も有るけれど、スピーディでなかなかよい試合でしたね。アジアは、広い。そして一筋縄ではいかない。だから面白いんですね。
フィジカル面で、お相手さんに遅れを取ってるのは明白。ならばガンバが勝つにはガンバが踊れる土俵に彼らを引きずり込むのがいいっちゅーことで、喉から手が出るほど欲しかった先制点。山崎がさすがACL男、面目躍如の一撃でした。映画「つみきのいえ」の監督さんにちと似ているだけあって、ワールドワイドな男ですよ(笑)。ちょうどFCソウルのラッシュを浴びて、腰が引けつつあった時間帯でしたからね。さながら、砂漠に咲く花、夏のキンキンに冷えた麦茶、アルプススタンドのかち割り氷。それくらい心を潤してくれるゴールでした。いちいち、記憶に残るやつ。奥ゆかしそうで、ちゃっかり星を持ってます。
レアンドロハットトリックも美しかった。彼は…あの神々しくて茶目っ気が有って、最後までいいやつだったアラウージョのことを思い起こさせてくれますね。でも、突然原油のビッグウェーブにかっさらわれたり、異人さんに連れられて行っちゃうのは、勘弁だな。唐突すぎる別れは、もうしばらくいいです。30過ぎると、打たれ弱くなるのです。ああ。
印象に残ってるのは、三点目。起点となった下平のクロス!なんだよ、いい球出せるんじゃないか。にくいよこのこの〜。下平も安田も、なんだってよりによって、得意なサイドがかぶってしまってるんだろうな。4バック全盛の現在でも、攻撃的なアウトサイドがグイグイ相手をドSに押し込む展開が好きな私は、ついうっこりと、将来両翼に並び立つ二人を想像してしまいます。どちらも荒削りだけど、時々キラキラどころかギラリと光る攻撃性を見せてくれるし、これからもすくすくしっかり、育って頂きたいところ。
ただ、守備陣には終始苦しい試合だったと思います。ドンヒョクのフィジカルと、韓国サッカーを知ってるからこその落ち着きぶり、それから今日は抜群に勘が良かった藤ヶ谷には、何度も助けられました。相手を迎え撃つときにもイニシアティブをとっていくことがなかなか出来ません。こういうときに、ガンバの守備は淡白になりがちなのですけど、明神もいない中で橋本や時にはルーカスまでがかけずり回って、よく耐えてくれました。萎縮することなく、ガンと当たりに行けてたと思います。ただ、さんざん走らされて集中力が鈍った終盤に一気にズドンと、いらん失点をしてしまいました。あれは、山口以下、勝っても悔しいのでは。中澤や和道は、どう見たかな。
ジェジンは、出身地ソウルでの試合で相手も韓国のチームということで、並々ならぬ気合いを感じました。やっぱり、ワールドカップ前に韓国代表に戻りたいのでしょうね。そのせいかシュートは、若干力み過ぎだし焦っていたように思います。でも、従来のイメージとはちょっと違った、柔らかくて相手に優しいスルーパスでのアシストを見せてくれました。しびれたなあ、あれには。ただ、孤立してしまう時間帯も、まだけっこうあります。もうちょっと周りと理解しあって、お互い馴染んでいけたら、破壊力が増すのでしょう。ただ、ガンバには長いことああいう攻撃のアプローチが欠けていましたから、意識するのにもちょっと、時間かかっちゃうのかもね。しっかしまあ、ポジション柄仕方ないとはいえ、何回も激しく、ごりごりと削られましたね。股関節に右膝と、下半身を痛めたままでプレイしているのに、あれはきつい。次の京都戦までは中4日ですか。うーん、先発行けるのだろうか。ちと心配です。ゴールからも遠ざかってることで、そろそろイラッときたり、責任を感じたりもするころかな、と思うので。
プレイに関係ないところで気になったのは、ドンヒョクが得点者の頭をバシンバシンとしばきすぎるところでしょうか(笑)。気がついたら、得点者の向かって右から、抜群の笑顔と共に手のひらでのラッシュ、ラッシュ、またラッシュ。なんとソウルフルなリアクションなんだ。ドンヒョク、ノリノリなのかはたまた素なのか。しかしこのままだと、シーズン終盤戦にはドンヒョクのパワーでFW陣が全員アホになってしまうではないか(笑)。これからは、誰が得点したかわからないときは、ドンヒョクが猛烈に頭しばいてる人がそうなんだ、と思っておくことにします。図らずも万博の流儀が、いっこ増えてしまった(笑)。
こうして少しずつ、破壊力とネタ度がアップして行くのですね、ぐはは。なんという万博劇場。早く戻りたい素敵でアホで、ちょっと小粋な蹴球劇場。なんだかむずむずしてきますね。なんで近くに、もっと手元にないのだろうってね。
しかし、ちいさいネット中継の画面で見ていても、しびれるようなアジアのアウェイ感。意地と誇りの、クロスオーバー。なんてキラキラしてるんでしょうね。眩しすぎて、自分の卑小さを嘆いちゃうくらい。それくらい、愛すべき青黒の男たちは、素敵に輝いていました。二川が帰ってきたら、どうなるんだろう。そんな想像をする余地もまだあります。ガンバのサッカーは、まだまだブラッシュアップの段階ですものね。
そんな夢舞台のそばに、あのスタンドに、私もいつか、行きたいものです。