うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

とんぼの眼鏡は節穴眼鏡?

ガンバの監督になったことこそないけれど、岡ちゃん、いや、岡田武史監督のことは、尊敬に足る人物だと思ってた時期が俺にもありました、ですよ。ハイ。著作『蹴球日記』には共感できる箇所も多々有ったし、たまに聞く解説も、わかりやすくて親切だった。我らがガンバを負かしまくって、完全優勝を成し遂げた横浜F・マリノス時代も(ガンバが戦うたびに多大なる劣等感とダメージに苛まれつつ)、すごいなあと思ってた。
でも、なんだろう。こんな無茶なことをやる人物は、本当に中の人まで岡田武史さんなのか。

日本サッカー協会は21日、アジア杯予選バーレーン戦(28日、マナマ)に臨む日本代表25選手を発表した。20日にFIFAランク153位のイエメンに2―1と辛勝。危機感を募らせた岡田武史監督(52)は、右太腿に負傷を抱えるMF遠藤保仁(28)を強行招集した。初招集はGK菅野孝憲(24)、欧州組はMF本田圭佑(22)、MF稲本潤一(29)が復帰した。【日本代表メンバー】

 岡田監督に余裕はなかった。格下イエメンとの苦戦から一夜明け、バーレーン戦のメンバーに右太腿に負傷を抱える遠藤を強行招集した。「太腿の打撲で(調整が)遅れてると報告を受けている。ただ、G大阪もまだ練習をしていないし、合流はしてもらう。ダメなら帰しますけど」。明らかな見切り招集だった。

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2009/01/22/01.html

遠藤は昨年12月から、負傷を抱えたままプレイを続け、天皇杯優勝後にようやく、つかの間の休息を得たばかり。しかも怪我はまだ癒えていない。記事によると、柳田ドクターも難色を示している。それなのに、なぜ。シーズンも、W杯予選も、アジアカップも、まだ先は長い。それなのになぜ、こんな無茶をするのか。
才能は使い減りしないかもしれないけれど、30代も遠い未来じゃなくなってきた彼の体は、酷使すればそれだけ、消耗する。しじみ汁でカバーするってったって、限度が有りますよ。実際に過酷なスケジュールの果てに肝機能が低下し、長期離脱を余儀なくされたことだってあるのに、岡田監督だけでなく協会幹部は、そのことをもう、お忘れか。のど元過ぎれば熱さを忘れるのか、あるいは三歩進めば二歩下がって空っぽになる、鳥頭しか持たないのか。環境問題に熱心な岡ちゃん、地球だけでなく選手にも優しさ…いや、この言葉では少々生温いかもしれないけれど、気遣いを持ってくれないのですか。
この無茶な物言いが、日本代表という大義名分の下に通ってしまえば、人を工場ラインの中の取り替えの利くパーツのひとつにおとしめ、人をないがしろにしたつけが廻ってきている今の世の中と、同じ流れをなぞるようで。悲しいことです。人を大事に出来ない組織が、どうして未来につながる健全な人材を、育成できるでしょうか。
かつてJリーグではトップクラスの監督で、クラブの立場から選手を守る立場にもあった岡田監督が、何故今このようなことをなさるのか。叩けど叩けど、目の前の鉄のかたまりからはなかなか「今の代表はこんなチーム」と胸を張って言える形が浮かび上がってこないばっかりに、彼は焦っているのでしょうか。焦って周りが見えなくなってしまっているのでしょうか。あの春夏秋冬大好きな会長じゃあ、ろくな助言も出来ないでしょうしね。だだっこワンちゃんは、JFAハウスに永遠にハウスしてりゃいいんですよ。少々口が過ぎるかもしれませんが。
正直、前回対戦で負けた悔しさをはらす云々などいう妙なジャパンプライドなんて、発揮しないでいいです。もう少し謙虚に相手へ向かって行くべき。ただ、アジアカップを軽視する訳ではないけれど、今よりは2月のW杯予選、対オーストラリア戦にこそ、チームのピークを持っていっていただきたい。今の代表は、「W杯に出ておしまい」以上の結果を出すために、あるのでしょう。存在意義を、はっきりと見つめ直して、定義し直してほしいです。勝ったはいいけど…監督の顔は暗い、という展開が続いているいまだからこそ。そう考えると、先日の合宿→イエメン戦の流れから若手中心のメンバーを保って*1、その結果をW杯予選にフィードバックさせて行くのもよかったと考えられますが、後の祭りか。これからは各チームがリーグに向けてチームを作っていく、大事な時期。中心選手を取られるのは、どこも勘弁でしょうしね…。
それでも通すべき筋や、やり方というものが有れば納得できるのでは。そういうところが、不思議と今の代表からは失われつつ有ります。そしてそれが巡り巡って、サポーターが協会への不振を募らせ、協会自らの首を絞める結果となっている。選手の代表へのあこがれを逆手に取って、部品扱いしようとしているようにも見えてくる始末。
「今オシムって言っちゃったね」。川淵三郎氏の口から、この言葉がこぼれた瞬間、日本サッカー協会からは良心の最後のひとかけらさえも、こぼれてしまったのですね。青黒い界隈のあちこちで爆発している不満や、不振。これは一過性のものではない。少しずつ澱のように積もって層を成しつつ有ります。その危険性にどれだけ、彼らは気づいているのでしょうか。フランスワールドカップのときって、こんなモヤモヤしてたかな?あの頃はもっとまっすぐに、みんながフランスいきを夢見て、その方向を見つめていたはずなのに。
ああっ、もうやまなしおちなし意味無しってなかんじでのんべんだらりと書き綴ってしまいましたが(お前の書くものはいつも論が堂々巡りな上にワンパターンだろという声がぐるり360度から聞こえてきそうな悪寒がしますがそれはおいといて)(実際、いいかげんにしろ、という一言でまとめられるような気がしないでもない)、遠藤に限らず、今回の遠征メンバーが大事無く帰ってくるのを、祈るばかりです。はぁ。ぐふぅ。ため息はつきぬ。ゲプー。これはゲップ。

*1:本田や菅野を呼び寄せたのはいいんですがね