うららかびより

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播戸先生の年越しじらしプレイに全ガンバが泣かされた元旦

2009年1月1日14時キックオフ、東京・国立霞ヶ丘競技場天皇杯決勝戦。ガンバ大阪、18年ぶりの天皇杯獲得という輝かしき瞬間に、立ち会って参りました。あの日は一生、忘れない…といいたいところですが、実はあんまり覚えてません。あのゴールが突き刺さった瞬間、それまでの試合の記憶がほとんど吹っ飛んだからです。その上に、録画放送開始直前に力つきて、日付が変わるまで寝てしまったため、反芻する機会すらなし。2日夜に帰宅してから、今の今まで、ぼんやりと魂が半分国立に残ってるかのようなぼけっぷりでダラダラと過ごしていたら、もう明日は仕事始めと来た。なんと腐ったパラサイトシングル。こんな大人になっちゃいけませんよ。あーあ。そもそも生で見た試合をわざわざ、後からテレビで見直す趣味もありませんし、いつも通りにしておけってことですかね。
既にAOQLO界隈でもそれ以外でも語り尽くされているこの試合、後から何を述べるにも遅きに失した感がございますが、残り少ない息絶え絶えの記憶を、覚え書きのためにも掘り起こして書き付けておくと…あらすじとしてはほぼ準決勝と同じ。ただディティールがだいぶ違います。西野監督が遠藤を先発させ、いけるとこまで行かせるという予想は誰もが出来たことでしょう。そして、決勝戦終了直後、武井におぶわれた遠藤の誰もが思ったことでしょう。彼は90分間持たないだろう、と。柏の石崎監督もそうした流れを前提に、カードを切ってきたように見えました。フランサ李忠成を温存し、前半から豊富な運動量と堅い中央の守り、そして人間砦こと菅野でガンバの前線と中盤に圧力をかけ、気勢を削いでいきます。そして、後半途中でガス欠を起こしがちのガンバに追い討ちをかけるようにフランサ、李の連続投入。攻撃の狼煙をあげて一気に畳み掛けるように後半で勝負を決めたかったのでしょう。豪快かつ繊細な石崎監督。だてに西野さんより色黒じゃないですね。今までのガンバなら、ここでまんまと策にはまって、やられていたでしょうね。マンチェスター・ユナイテッドと戦う前のガンバなら。
激戦の準決勝から中2日。多少回復の機会は得たとはいえ、ボロボロになるかと思われるまで追いつめられた彼らは、後半もたゆまずゴールを目指し続けました。その姿には、サポーターの贔屓目なしに感動さえ覚えました。この声が単なる自己満足でなく、少しでも彼らに力を与えるなら、血を吐いてでも歌ってみせよう。今にして思うと多分に感傷的過ぎますが、そのときはひたすらそう思って声を張り上げ続けました。
しかし後半の途中から、不思議とガンバが楽にボールを持てる場面が増えました。なぜでしょう?そのときは冷静な判断が出来ませんでしたが、振り返って考えてみると、入った選手よりもむしろ出て行った選手の顔ぶれが大きく影響していたのではないかと思います。FWのポポ以外の二人…太田と山根。この二人がいなくなってから、中盤の圧力が減ったように思うのです。山根は負傷交代だったようですから仕方ありませんが、誰かを入れれば誰かを切らねばならない…取り立てて悪い選手がいないと、監督としても悩みどころですが、ここが勝負のあやとなるとは。こちらのゴールに向かってくるガンバの選手たちは、以前体力的にきつそうでしたが、前半よりもギラギラしていました。遠藤、ほんとに怪我してたっけ?橋本は右の内転筋をいためてるんじゃないの?それともそんなこと最初からなかったの?そう思うくらい。天皇杯優勝、そしてそれ以降に続く道。彼らはゴールの向こうに、それを見続けていたのでしょう。
一介のサポーターたる私ですら、一度ACLやそしてその先に広がる世界の舞台の味を知ってしまうと、またあそこまで上り詰めたクラブの姿を見たいと思うくらいです。言わんや選手をや。たとえCWCの決勝戦以外の試合が当事者以外にとっては茶番に見えようと、そんなこと知ったこっちゃありません。少なくともガンバに取っては、あっていい大会だったんです。CWC準決勝を戦った後、彼らは明らかに変わった。だからこそここまで来たのですから。
一番印象に残っている場面があります。後半終了直後のこと。自陣ゴール前でぶっ倒れてる選手がいました。一眼レフの望遠レンズでぐっと寄ってみると…遠藤!そろそろ潮時なんだろうか…でもそれでも仕方ないな。倉田が出るんだろうなって思いました。でも、延長に突入しても誰も選手が変わってない(笑)。あんまりにも初志貫徹過ぎて、西野朗過ぎて、噴きそうになりました。ああ、西野さんは遠藤と心中するんだな。このチームは、よくも悪くも遠藤のチームだもんな。でも遠藤ならいいや。遠藤がだめなら、仕方ない。遠藤と心中なら、悪くない。いや、きっと大丈夫。私たちは、遠藤がいてくれれば勝てるんだ。追いつめられた果ての、勝てるかどうかわからない延長の場面。不思議なことにふうっと心が軽くなって、枯れかかっていた喉がよみがえったのでした。いや、単純だわ人って。でもだからこそ、何かを信じていられるんだわ。無宗教な私でも。
時が経てば経つほど、活力がよみがえっていくようなガンバ。しかしその目の前に立ちはだかる、柏守備陣と、人間砦・菅野。憎らしいほどタフな彼ら。敬意を表したいくらい。本当に後少し、後少しなのに…。ほんの3日前、同じ国立競技場の反対側のゴール裏で抱いたのと同じ感情がよみがえってきました。
そんなときに野に放たれたのが、播戸竜二。今季は気が付けば、9ヶ月ゴールがありません。ただ、ゴール以外の切れはよみがえりつつあるのに、何かにのろわれたかのごとくゴールだけが得られない状況。しかも準決勝での劇的勝利の立役者、山崎と交代。ど、どうなってしまうんだー!でもこういうときに限ってなんとかしちゃう、調子乗りの皮をかぶってその実繊細で気い使いで苦労をひけらかすのが嫌いな、妙な星のもとに生まれたやつ。一度は行き詰まってガンバを出たくせに、鮭の帰巣本能を発揮したみたいにガンバに戻ってきたやつ。それが播戸。案の定、ファーストシュートは外れちゃった記憶があります。しかし、彼が一番体力を残してる。ばくちみたいなPK勝負にもつれ込むよりは、白黒はっきりつけてこそガンバ。今は播戸にかけるしかない。残り時間は後わずか。オフサイドに引っかかる時間はないけど、いまやらないでいつやるんだ播戸!全国の独身女性がおまえさんをみてるぞ播戸!9ヶ月ゴールから遠ざかっていた選手が、2009年最初のゴールを決めたらチョーカッチョイイぞ!何も言えねえぞ!
…と思ったそのとき。ゴール前の混戦から、誰かがボールをぽっかり開いたゴールにけり入れました!ば、播戸ーーー!こんなことがあるなんて…!
ゴール裏はわやくちゃになって、ピッチの上の播戸もわやくちゃのまま、西野さんに突進していってガッシリ熱い抱擁。レイソルの選手が呆然としながらも、残り時間に望みを託すべく気持ちを切り替えていこうとしているのが見えました。彼らの姿を見て、残り時間がまだあるんだってことを知りました。脳内ではもうロスタイムみたいな感覚でしたから。そこから先の、長いようで短かった、いややっぱり長かった残り時間。ファウルの笛を試合終了と勘違いして、フライングで青いテープを投げる人もいましたから。みんなの頭の中がもう尋常じゃなかったんだろうなと思います。私もいっぺん「キャー」と言って突っ込まれました。お恥ずかしい(笑)。そして本当の試合終了の笛が鳴ったとき…なんていい正月なんだろうと思い、しみじみと喜びをかみしめました。関東に住んでいる私はともかく、急遽決まった元旦決戦のために、無いチケットを探しまわり、無理矢理元旦の予定をこじ開け、大枚はたいて新幹線や飛行機の切符をとって馳せ参じたサポーターは多かったはず。彼らの努力が報われたのがうれしかったのです。そして何より、何回も心が折れそうになったこのシーズン、西野さんとガンバ大阪が積み上げてきたことが、ぷっくりと甘く香しき大輪の花を咲かせて、多くのサッカー好きを楽しませたのがうれしかったのです。播戸もめでたい2009年初ゴールをゲットしたのですから、この勢いで嫁さんもゲットしてくれることでしょう(笑)。
ギリギリで、倒れ込みながらテープを切った感じで、2009年ACL出場権獲得。今年もかっこよくて少しドジで、アホーで、ちょっとだけたくましさを増したガンバサッカーが、アジアを席巻することを願ってやみません。そして、サポーターの貯金を2年連続で切り崩させる罪は重い。J1もナビスコACLもこのさい出来るもんは、とことん優勝して返せ!…いや、嘘です。全部とはいわないけれどタイトルを取って、それぞれが納得のいくシーズンをたくましく健やかに過ごしてくれれば、それでいいです。
それに私は、どこまでついていけるかなあ…。実は今年は、私にとってもターニングポイントとなる年。今までよりわがままに遠征や観戦が出来なくなります。将来のことを考えると、ホイホイとお金も使えなくなります。せめてスカパーくらいは見られるようにしないと、ガンバや仲間においていかれそう。それが不安でもあり、一方で新しい生活に対する希望も同じくらいあったりして。去年は念願かなって簿記3級を取得できたので、仕事面でも更なるステップアップを図っていきたいですね。普段選手に「ヴィンチ・ペル・ノイ」なんて歌ってるんですから、自分でもやることやらなきゃって思います。なので、ブログも辞めた方がいいのかな…と思ったこともありましたが、何年も続けていると、書かずにはおれない体質になってしまったようです。なのでもうすこし、続けたいと思います。
そんなこんなで、今年一年も変わらずに、いろんなことをだらだらとしょーもなく書き続けて行く予定です。アクセス数は多くて一日400〜500程度の零細ブログですが、読んで少しでも楽しいと思って頂ければこれさいわい。そんな物好きな皆様にも、幸多からんことを。

第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会 スコア速報 G大阪対柏 : nikkansports.com