うららかびより

家族のこと、趣味のこと、その他いろいろなこと

戦い済んで、日が暮れて、明けちゃってまた暮れちゃって

意識がはっきりしたのは確か9時過ぎ。しかしなんとなく目覚める気にならず1時間くらい布団でウダウダして携帯でサッカーニュースをチェックしていた。ああ、パラサイトシングル。
目を閉じて昨日の試合を思い出そうとしても、浮かんでくるのは『小さな子供を連れてきているのに、その近くで選手を「バカ」だの、「下手糞」だのと、大声でむきになって野次って怒鳴りつけている父親(まだ試合が終わってないのに!)』だったり、或いは『危険な段差がたくさんあるのに、ゴール裏にベビーカーを持ち込んできて、子供を乗せたままでんと通路に置いている母親』だったりと…なんでサッカーに関係ないことが先に立ってくるんだろう。私も、子や夫を持ってもおかしくない年齢だ。それが関係あるのだろうか。見ていて決して、気持ちのいい光景ではなかった。明文化されていなくても、大事なことや守るべきことは、あるはずなのに。昨夜の結果以上に、夢であってほしい光景。しかし、悲しいかな。今この右腕に残る筋肉痛のうずきとともに、これは現実のことなのだ。子供たち、特に未就学児に選択権は無い。ご両親が、もう少し考えてあげてほしい。本当に大事なものの事を。
もう切れ切れの断片と化しつつある昨日の試合のことを、少しずつ思い出してみる。前半、ガンバ大阪の起点は加地だった。安田はマッチアップのオ・ボムソクに押さえ込まれてしまって、あまり印象に残っていない。ただ、私がいたのがゴール裏でもバックスタンドに近いほうで、どうしても視点はバック側中心になってしまう。その影響はあると思う。加地はしばしばサイドを駆け上がり、仕掛けを試みたけれどなんせボールの受け手がいない。播戸とバレーはそれぞれ前後左右に見張りをつけられ、頭から押さえ込まれたみたいに身動きが取れない。もともとこの二人は相性がよくない。二人ともタテの動き中心で、下手な鉄砲もナントカタイプというところも似ている。彼らは青くて正直すぎて、老獪なCBやアンカーが張り巡らせる罠に、すっぽりとはまってしまうのだ。
同じく三ツ沢を舞台とした、アウェイ横浜F・マリノス戦も播戸とバレーが2トップで、閉塞感たっぷりの展開のままスコアレスドロー、松田・中澤というJ1屈指のCBコンビ復活に花を添えてしまう結果になったんだっけな。そんな二頭の暴れ馬を上手くいなし、横に流れる動きでアクセントをつけてくれるのが、マグノだった。ペナルティエリアでけれん味たっぷりの、セクシィなシュートを決めてくれるマグノ。小さな穴を知恵と工夫でこじ開けて、どんな堤防でも決壊させてしまうマグノ。魔法のランプをキュキュッとこすって現れてくれればよかったのに。
とにかく、スペースが無く、閉塞感みっしりなフィールド。人と人との間にきっちり選手を入れ込まれて、パスワークを無効化する。イビチャ・オシム氏が監督だったころのジェフ千葉が、この調子で毎試合ガンバを陥れていたっけなあ…と懐かしくも苦々しき思い出までよみがえる。いいようのない息苦しさ。それでも「ガンバはスロースターターだから」という、根拠の無い自信でかろうじて持ちこたえていた気がする。しかしいつもそうだからって、今日も上手くいくとは限らないのだ。勝負事に絶対は無い。正直後半は、横浜FCがCKから同点ゴールを挙げてから、あんまり記憶が無い。CKでのマンマークが甘いのは今に始まったことじゃないけれど、何人監督が変わっても、選手が入れ替わっても甘いままというのは一体どういうことなんだろう。そしてこちらにガンバが攻めてくることで堪能できるはずだったスペクタクルは、夏の暑さに枯れ果てて干上がっていた。万力のようにガンバを締め付けたハマナチオは、中盤の遠藤と二川からも力を奪っていたのだ。あの明神からさえも。家長?いたっけ?
引いた相手には、ミドルシュート。そういうセオリーが頭から抜け落ちているみたいに、ジャブみたいな軽い攻撃が何度も繰り返されて繰り返されて繰り返されて…終わった。点を取らなきゃ、取らなきゃ。焦りがオートマチックに、戦術なんて関係なく体を動かしているかのよう。交代によるリフレッシュ策は、あまり期待できなかった。ここまで機能不全に陥ったチームを、立て直すには、全員をグラウンドから引き上げて脳天から冷水をぶっかけなきゃいけないように見えたから。誰を下げて、誰を出すか。難しかったんじゃなかろうか。
関東でのゲーム、特に横浜での戦いって、いい思い出が無い。横浜F・マリノスにボコボコにされたことばかり覚えてるから。「慣れ」で無理やり悔しい感情を麻痺させて、次があるんだ、くじけちゃいけないと無理やり心を押さえつけて。帰りの電車はいつもそうだった。いつになったら、楽に勝てるようになるんだろう。勝って笑える日々が来るんだろうと。優勝って、どんな気分なんだろう。みんながんばってるのに、何で報われないんだろう。結局、少し余計に勝てるようになっても、また新しい心配事や、悩みが増えた。しかし、それを上回る喜びもまた、得られるようになった。あのころには見えかった、いろいろなものや、そして仲間も、また。
正直、横浜FCの姿には懐かしささえ感じた。ああやって泥臭く、ひいて守り抜いて、強いチーム相手になんとか食らい付いていた。戦術なんて無いのか、結果さえよければいいのか。未来はあるのか。そんな葛藤がいつもあったし、それは選手も同じだったんじゃないか。それが不思議なことにめぐりめぐって、今ではそうされる立場になった。彼我なんてコインの表裏みたいに、簡単に裏返る。くしゃみみたいな本の些細なきっかけかもしれないし、或いは連綿と積み重ねられてきた努力の成果かもしれないけれど、或る日突然にふうっと、流れが変わるときがある。変わってからはあっというまだったな、ガンバも。そんなことを思いながら、横浜駅まで歩いた。
一週間後、どうなるかわからない。彼の心意気はスタメンよりもむしろスタベンの顔ぶれに濃く出ることが多いのだけれど、横谷や倉田も出てきちゃった今、これ以上の驚きをもたらす人間は果たしているのだろうか。弄るなら、2トップの顔ぶれか…GKか。藤ヶ谷が大ポカやらかしたわけじゃないけど、何かを変える、というときにガンバでいちばん弄りやすいのが今、このポジションだと思う。あくまで妄想の域はでないのだが。
願わくば、アタックチャンスは、川崎の諸君ではなくわれらがガンバ大阪に沢山やってきますように。
ありっ、昨日書いたこととかぶってるなあ。まいっかー。日曜なのでゆるゆるしたまま終わる。明日からまた、仕事です。夢見心地のまま過ぎたお盆休みだった。さあ行こう、また週末、等々力でけろっと応援できるように。