うららかびより

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灰とダイヤモンド

昼休みにmixiにログインしてみたら、マイミク諸氏の日記に不穏な見出しが並んでいました。確かめてみたら、これ。あの菊地直哉が、逮捕。そりゃもう、びっくりですよ。
彼のことで思い出すのは、ジュビロ磐田よりもむしろ、アテネ五輪代表でのプレイ。あのときの五輪代表は、最初中山悟志が所属してたから見に行きだしたのですが、もうほんと頼りなくて。「こりゃ応援しなきゃやばいぞ」と、サカサポ特有の義侠心が働いてしまいましてね。2次予選から、出来るだけ試合に行って応援してました。フル代表にはいまだに1試合しか行ったこと無いのに、最終予選の日本ラウンドは、3試合とも国立にボードを持って駆けつけました。才能があるのに青くて、力の使い方が下手で、もがいてるチームがほっとけなかったのは、昔のガンバと同じ。どっかで重ねてたんでしょう。菊地は、本来中盤の選手ですが、器用さを変われてセンターバックで使われることが多かったです。読みがよく、対人戦術も若い割りにしっかりしていて、よくがんばり、はしる。普通の選手、そして青年でした。
どこでどう、誤ってしまったんだろう。一旦掛け間違えたボタンは、なぜ元に戻せなかったんだろう。周りは気づけなかったのか。あるいは、彼が自分の中の黒い感情を、周囲に悟らせないようにうまく振舞っていたのか。彼はサポートチームの選手ではありませんが、私は本当にショックで、悲しいです。ショックすぎて、昼休みは頭がくらくらしていました。しかも詳細を突き詰めてみると、突発的というよりも、だいぶ確信的な行動とのことで…残念ながら情状酌量の余地は、まったくなさそうです。
プロスポーツ選手も、ふつうの人です。24時間365日、清廉潔白折り目正しき優等生でいることは出来ないでしょう。間違いもあると思うんです。しかし、私人であって公人でもあるプロサッカー選手は、常に「観られている」という意識が必要です。それは、自らを律することにもつながる。自由を謳歌することと、野放しだからと悪乗りすることを、履き違えてはいけなかった。それは一番、超えてはいけない一線でした。
これから、二度と同じことを起こさないのは当然として。この件についてのけじめを、磐田やJリーグ、そして菊地本人がしっかりやってくれることを願います。一人の人間が、自分の判断で、何らかの跳ね返りがあるということは明らかであるのに事を起こして、こうなったのですから、責任はきっちりとってほしい。また一個人、一チームとしてこうむった被害以外に、彼が属していた日本のサッカーコミュニティがうけるダメージもまた、存在します。「やってしまったものはもうしょうがない」ではなく、本当に、これからの取り組みが大事です。
思い出を汚された、傷つけられたとは思いません。あの日の菊地はがんばっている菊地のまま、私の記憶にのこるでしょう。ただ、目の前に突きつけられた現実、そして磐田にかかわるすべての皆さんの心情を思うと、底なし沼のように無念ががしんしんと、深まっていくのです。悲しみや、怒り、憤り…そうしたわかりやすい感情を通り越して、無念と脱力感が、肩にのしかかっているのを感じます。
ちょうど、磐田との契約も切れる時期です。もともと海外志向が強かったとはいえ、今回のような事件を起こしては、彼は居場所をいやおうがなしに海外へ求めるしかなくなってしまいそうです。
こんな形で、日本サッカーは才能を一つ、失ってしまうのか。