うららかびより

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J1第8節:柏レイソル対名古屋グランパスエイト

行って参りました、久方ぶりに。日立台こと日立柏サッカー場へ。3日から2泊3日で神戸・名古屋遠征旅行に出る都合、今日の大分戦にいけないことはわかっていたので、ちょっと前から気になっていたこのカード。J1の上位同士の戦いでもあるし、ともに好成績をマークしているチーム。こりゃ面白いものが観られそうだと思ってたんですが…すこしまごまごしているうちに、なんと前売りの時点でどこのプレイガイドも完売です。そんなに大きなスタジアムでもないとはいえ、これにはびっくりしました。アチャー…って頭を抱えていたら、ミラクル発動です。関西在住の京都サポさんにバクスタのチケットが余ってると声をかけてもらい、当日待ち合わせて譲っていただくことになったんですよ。私、関東在住だというのになんだなんだ、この不思議なつながり。サッカーってすごいなあと改めて思いましたね(ニコニコ)。ペレじゃないサッカーの神さま、ありがとう。
しかし、試合前からひと悶着です。
駅から歩き出したあたりで雨が降り出し、ゴロゴロピシャン。春雷到来です。雨も猛烈に勢いを増し、アスファルトで跳ね上がります。雨宿りしながらスタジアム入りすると、バックスタンド下は赤と黄色を中心に、色とりどりのポンチョだらけ。一度あそこへいったことのある方ならわかっていただけると思いますが、客席はそれほどしっかりしたつくりではなく、メイン中央部以外の客席は、座部と通路の間に多少隙間があります。なので、スタンド下はそこかしこからぽたぽたと雨漏りがし、軒下なのにポンチョが要るという状態になっていたのです。私もあわてて手持ちの透明レインコートを着て、何とかしのぎました。じっと待っている間にぬれた足元から寒さが全身に広がり、正直かなり難儀しました。暫く雷雨が続く予報が出ていたため、キックオフも16時予定だったのが、50分も押してしまいました。2004年ナビスコ杯準々決勝、ガンバ大阪FC東京戦@国立を思い出しました。
ようやく雨足が弱まり着席すると、雨をかなり含んだピッチは、傍目で観てもかなりしっとりしているのがわかるくらい。ほうりこみのボールとファウルがイタズラに増えて、大味になってしまわないか…そんな嫌な予感が頭をよぎりました。試合前から、両サポーターは寒さを吹っ飛ばすような熱気を放っていました。名古屋ゴール裏に近い席だったのですが、試合前から早くも裸族出現。関東在住サポも多いのかはたまたゴールデンウイーク効果か、多くの猛者が終結していました。

前半

立ち上がりはどちらが特にイニシアティブを握るわけでもなく、交互に攻守が入れ替わるスピーディな展開。名古屋は長身FWヨンセンを1トップ気味にして、衛星として杉本恵太を配置するシステムなので、もうすこし放り込んでくるかなと思ったらそうでもなく。左サイドからの仕掛けが目立ちました。ソリマチジャパンでもおなじみの本田圭佑が左サイド、その前に金正友がいて、一人が絞ればもう一人が開き、どちらかがスペースを使って相手の右サイドに圧力をかけていくという感じ。ただ、位置関係のコンビネーションはあっても、二人の直接的なボールのやり取りはあまりなかったように思います。そして左サイドには3バックの左、増川隆洋も流れてゆきます。私の座っている位置からは、右の中村直志のほうはあまり見ることが出来なかったので、前半の名古屋は特に、この左サイドをよく使うなという感じ。その前には、中盤の底に君臨するベテラン、藤田俊哉の存在も見逃せません。彼がボールを左右に散らしてゆきます。監督が替わってから、よりサイドを良く使うチームになったなと思いました。まいて、まいて攻める感じ。最終ラインに鍵をかけるのは増川のほかに、米山篤志大森征之。米山はいまだに、赤い服を着ているのが不思議な感じ。いまだに東京Vの緑ユニの印象が強い選手です。
最初多くシュートを打っていたのは名古屋ですが、なかなか枠を捉えられません。ピッチコンディションの悪さも影響していたでしょうが、柏守備陣も、そう簡単にホームのゴールを明け渡すまいとしっかり応対します。長年守護神として君臨する南雄太以外の最終ラインは、近藤直也大谷秀和小林祐三蔵川洋平と若い顔ぶれですが、長身のヨンセンやスピーディで運動量豊富な杉本相手に、きっちり集中して守っていました。近藤はアテネ五輪代表で何度か見たときよりも、かなり成長したなという印象。
こうした柏守備陣の努力があったのと、名古屋が思ったよりロングボールを使ってこなかったのとで、次第にヨンセンが流れから分断されてしまいます。名古屋の攻め自体にも、中盤まではスピードと力強さを感じるものの、最後の詰めがが弱くなりました。ヨンセンにボールが届く前にインタセプトした柏が、カウンターから名古屋ゴールに詰め寄る場面が増えました。フランサ不在の中、FWとして先発した李忠成*1がセットプレイのボールを受けて左足で流し込み、先制点を奪ったのはそうした流れからでした。ここから暫く、柏の時間になります。若い選手が多いのですが、石崎監督の薫陶が利いているのか、ボールを奪ってからゴールに至るまでの流れが迷いがなくて清清しいんです。私の席からは、右サイドバックの蔵川の思い切りのよさが目立ちました。前述どおり、名古屋の左サイドはなかなか怖い選手がそろっていますが、気持ち負けしてませんでした。
柏の2点目が決まったのは、前半40分。柏は完全に流れを握ったわけではなく、おしたりひいたりで拮抗した状態が続いています。1-0で終わっては、後半相手が立て直してしまう可能性もある。突き放して相手にとって嫌な流れのまま前半を終えたかったところでしょう。そうした観点からも、理想的な時間帯に決まったと思います。
きっかけは突然に訪れました。増川が前目のポジショニングをしていたことから、本田の斜め後ろと増川の間には微妙なスペースが生まれていました。そこに絶妙に放り込まれたボール。それにあわせて、菅沼がさっと走りこみます。米山と本田があわてて戻りますが、間に合わず。菅沼が右足で蹴ったボールはぎゅんと一直線に、南の反応もあっさりと凌駕して、反対側の角に突き刺さりました。落ち着いて、グラウンダーで確実に加点しました。すばらしいゴールでした。現場ではしっかり確認できなかったのですが、ニッカン式スコア速報によると、アシストは李だったようです。ソリマチジャパンコンビが、見事機能した攻撃で、2-0と突き放して前半を終えることが出来ました。

後半

ハーフタイムに、九州石油ドームでの大分対ガンバの結果を確認しました。4対0というスコア以上に、得点者として播戸とマグノの名前を確認できたのがうれしかった。この二人の復活がなくては、優勝は厳しいですからね。本当に、良かったです。
後半は立ち上がりから柏左サイドの平山智規が思い切りよくシュートを放って、攻撃ののろしを上げました。しかし、どっちかというとイニシアティブは名古屋が握ることが多くなりました。14分、どうもいまいちだった中村直志吉村圭司と交代。吉村は、前半藤田が入り、流れをコントロールしていた中盤の底の位置*2に入り、藤田が中村直志のいた右サイドに流れました。これは、前半左にチャンスが偏重していたサイド攻撃のバランスを整える意図があったのと、柏にこれ以上点をやらないために中央の守備を強化するのと、二つの狙いがあったのかな…と勝手に思ってます。ただ、そうだとしたら…あんまりうまいこといってませんでしたね。藤田のパスセンスとゲームコントロール能力は、中央にいてこそ怖いものです。後半は果敢に攻め込んだ名古屋ですけども、その実、攻め急いで単調になってしまったのは、前線でためを作れなかったのと、シュートの不正確さだけでなく、こうした組織の組み換えの綾が裏目に出てしまったからなんじゃないかと思います。吉村は体を張って守備してましたが、いわゆる「ディフェンシブハーフ」的な働きをしていましたから。惜しいシュートもありましたが、柏守備陣のブロックでゴールを割ることが出来ませんでした。ただ、柏もぐっと押し込まれたため、前半ほど仕掛けることは出来なくなっていました。後半26分には、アルセウが2枚目の警告で退場。それでもよく集中がきれなかったなと思いますが、平山に替えてDFの岡山を投入して守りきって終了。日立台はてんやわんやの大騒ぎです。ヒーローインタビューはゴールを演出した李と菅沼。…あきれを通り越していっそキモティィィ(G.G.佐藤風)くらいの、アホの子全開のインタビューでした(笑)。おまえらもう少し落ち着け、と(笑)。しかしま、それだけいいゲームが出来たってことですよね。
思えば、開幕以来アルセウとともに中盤の底にいた山根が骨折、右サイドのアタッカー鈴木達也も靭帯損傷で離脱。フランサも今日は怪我でメンバーから外れていました。石崎監督の当初のプランとは、かなり違ってきている中での戦い。名古屋は前節と同じスタメンです。…うーん、こりゃ柏、いっとき首位に立ったのはフロックでなくて、最後まで優勝争いに残るかも?名古屋もかなり運動量が増えてチームが良くなってきてるのがわかりますが、ガンバの相手としてみると柏のほうがいやです。
悪天候にもかかわらず、かなりの好試合。雨を我慢して待っていて良かったと思いました。ただ、両チームとも本当に久々に見たので、観たりないポイントやもっと突っ込んでみたかったと悔やむことも多く…10年以上見ていても、まだまだ勉強が足りてないなあと反省です。両チームのサポ諸氏には今のうちに謝っときます。

おまけ与太話

私の隣にいた若い男の子二人連れが、ぺらぺらと大き目の声でしゃべりながら観戦してました。どうも名古屋サポだったようなんですが、後半中村直志が手前のサイドに来たとき、驚くべき会話を始めたのですよ。
「直志って、ピュアな感じだよな」「人の悪口いわなさそうだよな」
…えー!
…もうね…おまえらときたらね…なんですかその脈絡もない上に、微妙に腐ったような発言は…!い、いかん、横隔膜に力を入れないと爆笑してしまう!というわけで、暫く笑いをこらえるのに必死になりました。勝負事に始終つきあってると、どうしてもぴりぴりしすぎてしまいますが、こういうのもたまにはいい。これもスタジアム観戦(特に指定席でのマッタリモード)の面白さのひとつだったりして。いろんな見方があるもんです。

*1:帰化しても、コールは「イ・チュンソン!」でした

*2:名古屋のシステムはボランチ1枚