うららかびより

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練習試合だ一番!東京ダービー:FC東京対東京ヴェルディ1969

昨日の今日なんですが、またえいやっと早起きして東京へ。味の素スタジアムを無料開放して行われた、FC東京東京ヴェルディ1969の練習試合を観に行ってきました。公式戦ではないにせよ、久々の東京ダービー。そのせいもあってか、開門時間の13時ごろに余裕をこいて京王線飛田給駅に着いたのですが、もう人、人、人。公式戦並みでした。メインスタンドとFC東京側ゴール裏は、人がギッシリ。東京V側のゴール裏もかなりの人の入りでした。結局FC東京側ゴール裏2階席も開放されることに。私は、FC東京サポの友人の厚意で、ゴール裏に入れてもらいました。久々に大好きな選手が動く姿を見られるということで、みんなテンションが高い。ときとところは違えど、ゼロックス杯キックオフ前のわれらがゴール裏と、何の代わりもありませんでした。私にも、そのわくわく感がうつってしまいました。どんなチーム、どんな場所であっても、面白いサッカーは面白い。試合の前にはわくわくするし、いいプレーにはオオー!と自然に言って、拍手してしまいます。私はサッカーが好きだなあと、つくづく思いました。
FC東京側ベンチには、今年からコーチに就任した三浦文丈さんの姿もありました。もちろん監督は、原博実さんです。原さんが長身を丈の長いベンチコートで包んでフィールドに現れたとき、ゴール裏の温度が1度上昇したような、錯覚に襲われました。程よく甘い、再開の歓喜が粒になってぱあっとそこらにはじけるようで。「ハ、ラ、東京!ハラ東京!ハ、ラ、東京!ハラ東京!」原監督の帰還が決まってから、みなさんコールしたくて、うずうずしていたのでしょうね。スタジアムにちょっとだけ早く、春が来たようでした。
さて、試合はというと、すでに双方の公式サイトにも結果が上がっておりますが、1-1の引き分けでした。

どちらも試合経過が丁寧にレポートされています。
FC東京は、五輪代表組のほかに、肩の怪我で開幕絶望とされている茂庭選手と、ルーカス選手、今野選手が欠場。試合後の原監督いわく、「今野はちょっと風邪引いちゃってねえ」、と。開幕前だというのに、心配ですねえ。
FC東京の面子はこんな感じ。場内のアナウンスがちゃんと聞こえなかったので、公式サイトで確認しました。

GK 土肥
DF 藤山、徳永、吉本(→エバウド)、金沢
MF 福西(→浅利)、栗澤、石川、川口(→鈴木(規))、森村(→馬場)
FW ワンチョペ

福西選手、川口選手、金沢選手と並ぶと、うっこり「ここはヤマスタか」と錯覚してしまったりなんかしちゃったりして。
東京Vの面子は、

GK:高木(→吉原)
DF:戸川、土屋、海本(→福田)、服部
MF:菅原、名波(→佐藤)、ディエゴ(→金澤)、大野(→船越)
FW:フッキ、平本

去年1試合も見られなかったのですが、ずいぶんと様変わりしました。特に今オフは名波選手、フッキ選手など大きな補強をしましたね。彼らが試合前、練習のためにピッチに現れたときは、FC東京側からリーグ時ばりの盛大なブーイングが沸き起こりました。練習試合でも、サポはガチです。これは、ダービーの鉄則。
FC東京フットボールは、まず前線からボランチ、最終ラインにいたるまでタイトなチェックでボールを奪い、いったんサイドに預けてキープでためを作っている間に、FWやボランチが上がって中央を厚くします。そして、いわゆるバイタルエリアにいたるとプレイスピードがぐんと加速して、フィニッシュ。「ノリカル」こと、鈴木規郎選手おとくいの弾丸FKというオプションもありますが、セットプレイからよりも、流れの中に相手を巻き込んでいって、そこからガツンとぶち込むほうが得意のように思います。「攻撃、攻撃、原東京!」というチャントや、「セクシー・フットボール」という謳い文句にだまされがちですが、まずは堅実かつすばやい守備ありきで流れを作っていく、というのが実際です。どうやって点を取りたいのかというヴィジョンが一貫しているクラブだと思います。そしてそのためにみんながきちんと動き回るから、わかりやすいしいろんな層の人たちに愛されるんですよね。
今日は石川選手、金沢選手、徳永選手、いい仕上がりのようです。金沢、徳永両選手は守備力も高いので、サイドのつばぜり合いは今年も厳しくなりそうです。
片や東京Vは、ラモス監督が就任してからますますブラジル色が強くなった印象。ガンバもそうですが、インタセプトからフィニッシュまでの流れをいかに効率よく、そして早く終えられるかが、最近のJリーグではよく追及されていますよね。それに対して東京Vは、ロングフィードをほとんど使わず、じっくり、丁寧にパスをつないで行きます。伝統的に足元が強い面子をそろえているので、ちょっとやそっとのプレッシャーでも難なくスイスイとまわせる。そうやって相手を自分たちのペースに巻き込んで、勝負をかける。おととしまでもそういうチームでしたが、その傾向が、いっそう増しました。濃くなりましたね。傍から見ていると、のらりくらりしているとさえ思える。J1にはあまりないタイプのチームなせいか、FC東京の選手は前半、リズムを乱されて若干やりにくそうでしたね。ただ…のらりくらりのままで、リズム自体は単調。ミドルシュートもないので、フッキやディエゴは怖いのだけれど、彼らを抑えたあとさてどうする?といった印象です。海本幸治郎選手は、元気にピッチを走り回っていました。ガンバに入団したころは、体つきもひょろひょろでしたが、ガタイもよくなり、しっかり体を張って守備できるいい選手になったと思います。後半は船越選手も出ましたが、あまりボールに絡まなかったので、印象はいまいち。
前半は双方、ある程度自分たちの形を作れましたが、東京Vは若干ペナルティエリア内での思い切りと正確性に欠け、FC東京ボランチ、CBの面子が若干違うせいか時々守備にずれが見られました。ワンチョペ選手は、ちょっと重たそうだったし、周囲との連携もまだまだ。ルーカス選手との相性が未知数ですから、まだまだ評価は保留というとこですね。彼をつかってCKからのヘディングや中央でのポストプレイなど、今までの東京にはあまりなかった要素を、原監督は高めたいのでしょうか。それは残念ながらまだ、うまくいってません。ただ、練習試合なので、いいところと悪いところ両方が出るのは、いいことだと思います。
そんなことなどお構いなしに、土煙を上げそうな勢いでわが道をいきまくっていたのは、「飛田給の最終兵器彼氏」「首都のリーサル・ウェポン」(すみませんすみません勝手に名づけてしまいました)こと福西崇史選手。ありえねー感じで足がひょいと伸びていくわ、ゴリゴリっと音がしそうなインタセプトしちゃうわ、目の前を横切る浮き球のパスを、足で止めてキープしちゃうわ。涼しい顔してその実、「この人に逆らったら、死ぬ!」と思わせるような妖気を漂わせるそのジキルとハイドっぷりに、しばしば戦慄しました。結構流してやってるところもあったし、リーグ戦に比べると、きれいなものでしたが…そんなすばらしき福西ワールドが展開されるたびに、FC東京ゴール裏は嘆息の渦。「福西がきてくれてよかった」「やっぱすごいわ」と、声が聞こえてきます。「福西、東京!福西、東京!」とゴール裏もコールで彼を歓迎します。このFC東京で、彼はドゥンガのような存在になれるかもしれない。才能はあるけれど、ちょっとお人よしでムラのあるこのチームに、徹底した勝者のリアリズムを植え付けられるかもしれない。そう思いました。
…しかし、ただで終わる福西さんではなかったのです。
後半終了間際、福西さんのクリアしたボールが、東京V大野敏隆選手の体*1に命中!場内に響き渡る「ボグゥゥ!!!」という鈍い音とともに、ボールは角度を変えて、FC東京側ゴールにすごい勢いで吸い込まれていってしまったのです…。予想もつかない展開に、名手・土肥選手も反応できるわけがなく、パサァー…と、無情にもボールはネットを揺らしてしまいました…。
何たる偶然、何たる神のいたずら。私か、ガンバ劇場とロッテ劇場に長年さらされてきたわたしの体が、何かよからぬものをつれてきてしまったのか…!間違って水から出てしまった金魚のように、口をパクパクさせる私でありました。ジョジョビジョバー、ジョビジョバー。
シーン。重苦しく、静まり返る場内。少し遅れて、「福西、東京!」というコールが起こりました。いや、東京ゴール裏のリカバーの早いこと。空気を読んでふさわしいチャントを出すのが、うまい人たちです。
あれは大野選手のゴール?あるいは大野選手にシュートの意図はなかったわけですから、オウンゴールなんでしょうか?なんだかよくわからないけど、めったに見られる場面ではないのは事実です。しかし、人に当たっただけであれほどボールがぶっ飛んでしまうとは…どれだけ力が余っているのでしょう、福西さん…(遠い目)。これが「世界まる見え」だと、ワイン色のソファに座った福西さんが、井上和彦の吹き替えで「もうあんなことはしないさ、絶対だよ」とか言っちゃうんだろうなあ。
で、ほどなく前半終了。「福西さん、コレを取り返すにはハットトリックだー」とか冗談言ってたら、後半頭から浅利悟選手と交代して、引っ込んでしまったんですよ。いや、もうなにからなにまですごいデビュー戦。彼が今野君と組んだら、中盤はどうなってしまうんだろう。今野選手も一見、「品行方正デスッ」って顔をして、いくべきところはきっちりガリガリくるし、言うことは言いますからね。ただでさえ、今年もいやなときにガンバとあたるというのに…遠藤、二川、がんばってくれよ…私は恐ろしくなりました。
後半、FC東京馬場憂太選手、鈴木規郎選手、赤嶺真吾選手、エバウド選手と、生きのいい選手を次々に投入し、アクセントをつけていきます。ワンチョペ選手と交代した赤嶺選手は元気に前線を動き回って東京V守備陣を引っ掻き回しました。ワンチョペ選手は運動量もさほどおおくなく、中央にどっしり構える感じでしたが、赤嶺選手をみていたら、FC東京のサッカーはやっぱり全員がブリブリ動き回ってナンボなんだなあという気がしました。鈴木規男選手は思い切りのいい飛び出しが光りました。馬場選手は、思いもかけないところからスッと出てきてスルーパスを放ち、相変わらずの曲者ぶり。エバウド選手は、鈴木規郎選手のCKを押し込んで、同点ゴールを決めました。そのほかのプレイは、あまり印象に残っていませんが、ブラジル人選手らしい伸びやかな体使いをする人でしたね。流れは、後半のほうがよかったと思います。ただ、一手一手が、軽いんですよね。余裕を持ってシュートを狙えていない。もっと腹にドスンと来るような、ためにためた上の重い一撃も必要だなと思いました。ワンチョペ選手には、その辺もまた求められているのかな?
結局、攻めどもフィニッシュの正確性に欠けて東京は加点ならず、そのまま試合終了となりました。最低限の約束事を決めた後は、若いはつらつとした才能の勢いを殺さず泳がせる、という原流は、健在。それはチームによくフィットしていると思いました。そのスタイルを理解している選手は多いですし、怖い存在になりそうです。
試合後は、懐かしい一幕もありました。原監督の後に、東京Vのラモス監督もスピーチ(しかし早口すぎてよくわからなかった(笑))をしたのですが、その時FC東京のゴール裏から「カリオカ!カリオカ!ラモス、カリオカ!」のコールが!日本代表時代の、ラモス監督のコールですよ。懐かしくて懐かしくて、鳥肌立っちゃいましたよ。
なんか半分くらい福西さんの話になってしまいましたが(笑)、面白い試合でした。やっぱいいなあ、サッカーは。

*1:私には腹に当たったように見えたのですが、東京V公式サイトには足と出ています。ももなんだろうか?