うららかびより

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例のアラウージョ移籍のお知らせを訳してみました。

あささんからのお声とあっちゃあ、ほっとけません。訳してみましたよ。既出URLですが、原文はこちらです。
http://www.cruzeiro.com.br/cruzeiro/noticias/5303.html
文字コードの影響で、ブラウザによっては上手く読めないようです。Firefoxだと化けないのですが…IEユーザの方は、エンコードの項目で調整をオススメします。該当ページの上で右クリックして、エンコード>「西ヨーロッパ言語」と選択してください。
出来る限り完訳を目指しました。とはいえ辞書の助けをかなり借りてしまってお恥ずかしいし、誤訳によって読んでくれた皆さんに、おかしなイメージを植えつけるのは恐いのですが、参考までに公開します。在学中はかなり必死こいて勉強していたのになあ。やっぱり使わないと忘れますね…。トホホ。
しかし予想外にゴージャスなつくりですね、クルゼイロのサイト。青がカッチョイイ。

アラウージョ選手、クルゼイロとの契約に合意

編集部より

2006年度へ向けた補強として、今週木曜日に契約合意に至ったFWのアラウージョ選手が、クルゼイロに移籍することについてコメントしました。彼はクルゼイロの青いユニフォームに袖を通すことへの喜びを、率直に表現しております。尚、契約期間は3年を予定しています。

「この判断は僕自身にとってもクルゼイロにとっても、いいことだと思います。僕個人は大変好調ですし、J1リーグナビスコカップと、日本ではとても充実した時を過ごしていました。しかし一方で、ブラジルへ戻りたいという願いもありました。クルゼイロのことは、前々から良いクラブだと思っていました。だからこそ、最終的に合意する事にしたんです。」と語る彼は、現在ガンバ大阪で20ゴールをたたき出し、得点王争いの首位に立っております。ナビスコカップは「やるかやられるか」のノックアウト方式で争われておりますが、彼は9試合で6点を挙げているのです。

クルゼイロの名誉を守る機会を与えられる以上に、アラウージョ選手は、帰国することでブラジル代表としてプレイ出来る可能性が高まると述べています。

「僕にはブラジル代表になるという夢があります。クルゼイロでプレイすれば可能性が出てくる。なぜなら素晴らしいクラブであり、ブラジル国内でも突出した存在だからです。ここで活躍して、またブラジル代表として覚えてもらえるようになりたい*1と思っているんです。僕はこのチャンスを逃したくない。ピッチの上で力を尽くし、ブラジル代表の夢を追い続けたいんです」と語ったところで、彼は言葉を終えました。
アラウージョ選手は、来年一月にチームに合流することとなります。

うーん…これだけじゃ本人が言っているのかどうか正直わからんですね。第三者がどうとでも捏造できる文章とも取れます。でも、彼が本当にブラジル代表の夢を捨てていなくて、実現するにはブラジルに帰る事がベストだと思っているのなら、無理に引き止めたくは無いですね。しかしいまや欧州サッカーの草刈場と化しており、決して治安や政治情勢が良いとは言えないブラジルよりはいっそ、欧州に行って腕試しして来い!とも思うんですが。

土日は事務所がお休みということもあって、現時点ではガンバ側から何の発表もありませんし、しばしば報じられているようにブラジルのクラブ運営はたいがいいい加減ですから、写真が載っていたからといって信憑性が高まるわけでもありません。ただ、昨日アラウージョが疲れをものともせず、クラブの為に働いて勝たせてくれたのは事実。今は彼を信じることが一番だと思います。

この移籍が事実だったとしても、日本はまだシーズン真っ盛りなのですから、個人的にはエチケットに反する行為だと思いますね。そんな事を忘れるほど、よっぽど嬉しくて浮かれているのでしょうか、あちらさんは…。

訳文に関しましては、意訳に逃げた所もありますし、ツッコミ所が多いと思います。何かありましたらコメント欄までお願いします。…また勉強しなければ。
3段落目の、Além de comemorar a oportunidade de defender a Raposa, Araújo confessou ainda que servir ao selecionado do Brasil pesou para o seu retorno.という文を訳すのに、実はかなり引っかかってしまいました。一見してどれがメインの動詞か、判別しがたい文章なんですよ…私だけかな。暫定的に出した訳でも納得言ってないというか、多分どっかで間違えているような気がしてとても不安です。8年前に戻りたい、あの頃は今の10倍くらい頭が冴えていました(遠い目)。後で気づいた所をチョコチョコ手を入れますが、とりあえず大意としては「いずれブラジルに戻りたいと考えていたし、ブラジル代表に選ばれるには日本よりブラジルでプレイした方が有利だと考えたから移籍を決めた」と言うことになりますね。

余談

因みにクルゼイロはブラジル南東部のミナス・ジェライス州にあるクラブです(Wikipedia説明文)。cruzeiroという単語そのものの意味は「十字」「十字架」。ユニフォームは青と白。エンブレムに南十字星があしらわれています。Cruzeiro do Sulが南十字星を指すことばだからと思われます。ホームタウンは同州の州都・ベロ・オリゾンチ(Belo Horizonte)(Wikipedia説明文)。

鹿島アントラーズアレックス・ミネイロ選手の登録名*2のうち、「ミネイロ」は、ミナスジェライス州出身であることから来ています。他に「カリオカ」=リオ出身、「パウリスタ」=サンパウロ出身、「ガウショ」=ブラジル南部(リオグランデドスール州近辺)出身などが、サッカーネームの中でも出身地を示すフラグとして挙げられます。

不思議な言葉

原文の中の独特な表現について、いくつか覚え書きを。長いので、興味がある方以外はサクッとすっ飛ばしちゃってください。

  • “mata-mata”ポルトガル語で「殺す」という意味の動詞、matarから派生した言葉で、「やるかやられるか」の後が無い、でも互いに落とせない勝負のことを指します。「食うか食われるか」「血で血を洗う」など、多少きな臭いですが日本でも類似の表現がありますね。日本代表のジーコ監督も、かつてコメントの中で使用した例が有るようです(※リンク先は、2005年6月22日付web版日刊スポーツ)。原文では“no estilo "mata-mata"”と言う形で使用されていますが、これは日本で言う「ノックアウト形式」のことではないかと思われます。estilo=-style=様式ですからね。ただ、このままストレートに訳すと本来のニュアンスが少し損なわれそうなので、「やるかやられるか」という言葉を付け加えてみました。この辺りは、訳し方によって幾らでも表現が変えられますね。
  • “Raposa”:三番目の段落にこのような言葉が出てきます。raposaそのものの意味は「狐」。しかし大文字から始まっているので、特定のものを表す固有名詞として用いられているようです。クルゼイロの公式サイトを巡っているうちに、こんなページを発見しました。“Toca da Raposa 1”…えーと直訳すると「狐の掘っ立て小屋1」っすよ!ひゃあ、なんじゃいなこら!しかしよーく読んでみると、冒頭に「狐の掘っ立て小屋は、1973年2月に開館致しました。これは、一つのサッカーチームのためのものとしては、ブラジル初の総合トレーニング施設となりました。」*3という文章が有ります。どうやら2002年に新しい施設が出来るまでは、ブラジル代表も利用していた施設だそうで。クルゼイロが所有している施設、或いは運営の本拠地を意味しているようです。元FC東京のケリーさんの入団記事にも繰り返し出ています。なので、ここでは「Raposa=Toca da Raposa=クルゼイロの総合トレーニングセンター兼本社」と判断して訳出しました。本当のところはどうなんでしょう。web上には欧州サッカーの文献はあっても、ブラジルサッカーを体系的にまとめた日本語のページがほとんど無いのです。裏づけのしようがないというのが、正直な所ですね…。ご存知の方、教えていただければ幸いです。

*1:訳者注:彼は1998年と1999年にブラジル代表歴があります

*2:彼の本名はAlexander Pereira Cardoso

*3:原文:A Toca da Raposa I foi inaugurada em 3 de Fevereiro de 1973, se tornando o primeiro centro de treinamentos projetado para concentração de uma equipe de futebol no Brasil.